日本リモートセンシング学会・問題生態系計測研究会
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マングローブとは熱帯・亜熱帯の潮間帯に生育する樹木類の総称であり,東西両半球の河口や沿岸部に広く分布している。マングローブは,沿岸に土砂を堆積させ土壌状態を豊かにすることによって,多種多様な生物に生息地を提供している。また,2004年スマトラ沖地震の後,津波や高波に対するマングローブ林の防災効果が注目され,東南アジアの国々では沿岸災害防止策の一つとしてマングローブの植林を進めているとの報道もある。このように環境と防災の両面でマングローブの重要性は認識されているが,近年では宅地開発,農地開発,養殖池の造成等によりマングローブ林は急速に減少している。 少し古い統計であるが,FAO(Food and Agriculture Organization)によると,全世界のマングローブ林面積は1980~2005年の間に188千km2から152千km2に減少したと推定されている1)。つまり,この25年間で36千km2,1980年当時の20%弱に当たるマングローブ林が失われたことになる。このうちアジアでは19千km2が消失したと見積も表1 アジア主要国におけるマングローブ林の面積変化(FAOによる推定)国名 インドネシア マレーシア ミャンマー バングラデシュ インド フィリピン タイ パキスタン ベトナムマングローブ林の面積(km2)1980年 42,0006,7405,5554,2805,0672,9502,8003,4502,6922005年29,0005,6505,0704,7604,4802,4002,4001,5701,570面積変化(km2)変化率(%)-13,000-1,090-485480-587-550-400-1,880-1,122-31-16-911-12-19-14-54-42田村 正行(金沢工業大学) GoogleEarth へGoogleEarth へ 103 マングローブ林はどうなっているのか マングローブ林の面積変化を衛星画像で観る

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