日本リモートセンシング学会・問題生態系計測研究会
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図1 オヒルギ優占林(BG mangrove),ヤエヤマヒルギ優占林(RS mangrove),一般植生(Non-mangrove)のLandsat TM/ETM+観測バンド5における反射率の季節変化.季節,潮位によらず,マングローブ林は一般植生より反射率が低い. られており,五大陸のうち消失面積が最大である。表1にアジア主要国におけるマングローブ林の面積変化を示す。消失面積が最も大きいのは,世界最大のマングローブ林を有するインドネシアである。一方,面積減少率でみるとパキスタン,ベトナムの減少率が大きいことが分かる。近年,乱開発に対する法規制や植林の促進などの対策が各国でとられるようになったため,マングローブ林の減少率は緩和されつつあるあるが,多くの国で未だに減少傾向は続いている。 このような状況において,マングローブの保全と持続可能な利用を推進するためには,その現況と変化を実証的かつ定期的に把握することが必要である。マングローブの分布に関しては,各国で作成した植生図,FAOや国際マングローブ生態系協会など国際機関による地図等が出版されている2)。しかし,これらの地図は一般に改訂頻度が低く,必ずしもマングローブ分布の現況を表すものではない。このようなデータ欠落を埋める手段として,広範な地表の状態を定期的に観測できる衛星データの利用が有効である。 マングローブ林を衛星センサで観測すると,短波長赤外バンドにおいて一般植生より低い反射率を示すことが知られている3)。図1は,Landsat TM/ETM+のバンド5(波長:1.55~)における,オヒルギ優占林(BG mangrove),ヤエヤマヒルギ優占林(RS mangrove),および一般植生(Non-mangrove)の反射率の季節変化を示している。図から,どの時期においても,マングローブ林の短波長赤外バンド反射率は一般植生より低いことが分かる。このような特徴的なスペクトル反射特性と,マングロー104

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