日本リモートセンシング学会・問題生態系計測研究会
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(1国立環境研究所、2マングローブ植林行動計画) 亀山 哲1・宮本 千晴2・須田 清治2・浅野 哲美2 マングローブとは,熱帯から亜熱帯地域における沿岸域の潮間帯に生息する植物の総称である1)2)。我々はこのマングローブ湿地が持つグリーンインフラ機能に着目し,生態系復元に加え,気候変動の影響への適応に資するEcoDRR(Ecosystem-based Disaster Risk Reduction)の観点からも,ベトナム沿岸域においてその復元活動を支援している3)。本事業にリモートセンシング(一部にGISデータベース)を利用する目的は,踏査調査の非常に困難なマングローブ湿地を非破壊で広域的に解析し4),更に沿岸域が開発される以前の過去の衛星画像を解析する事によって「原生的なマングローブ生息域を抽出あしすること」である。そして,原生的なマングローブ生息範囲をマングローブ本来の生息適地(つまり湿地の復元が比較的容易な場所)と捉え,植林地の選定において有効に活用しようというものである5)6)。 枯葉剤による壊滅的なマングローブの枯死を招いたベトナム戦争後の1980年代以降,マングローブが激減した主な理由は,皮肉にもその立地環境と高い生産性,つまり「豊か過ぎる生態系サービス」である7)8)。マングローブ湿地開発の第一段階は,一般的にエネルギー確保の為の単純な薪炭林利用であった。薪として伐採され,比較的疎林的な空間が生まれた干潟では,第二段階として,国際的輸出品としても非常に貴重なエビを養殖する為の「エビ養殖池」が造成された9)10)。近年の最終段階では,生産効率の低下した養殖池を対象に,エビ池の放棄,または産業用立地確保のための埋め立てが急速に進んでいる11)12)13)(Photo. 1.)。 我々が懸念しているのは,現在のエビ養殖システムの持続性の低さ,言わば養殖池の寿命である。水田とは異なり,抗生物質等も多用される高度化された集約型のエビ養殖GoogleEarth へGoogleEarth へ 112ベトナムのエビ養殖池はどうなベトナムの放棄エビ養殖池を対象としたマングローブ湿地の復元におけるリモートセンシング技術の応用 1. ははじじめめにに っているのか?

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