日本リモートセンシング学会・問題生態系計測研究会
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亀山 哲(国立環境研究所) 1282023年4月現在、我々はwithコロナという新たな局面を迎えました。人流が戻った今を好機と捉え、現場体験を通して1)自信を持つ2)新たな視点に気付く3)逆に自身の行動原理を否定する。など感性を今一度先鋭化されるのは如何でしょう。私の拙い知能では本コラムの趣旨は「現場を歩き、人と語り、そして閃きましょう!」です。抑々リモセンに携わる我々の仕事は、センサー開発や受信した信号の処理が中心。モニターを睨む時間が多いと思います。元々現地調査が好きだったのに、気付けばプログラミングや画像処理、最近は書類作成や会議ばかりという方々も多いと思います。 一方近年は仮想現実に関する技術の進歩が著しく、メタバース空間の拡充も飛躍的です。これは見方を変えれば「現場で得られる体験の価値を我々自身が再評価せざるを得ない状況」とも言えます。要するに「現場からの発見は膨大で、独特の感覚がそこで生じるが為に、今こそ体験が強みを持つ」と言いたいのです。 さて最近「環境・生命文明社会」という少し耳慣れない概念に出会いました。環境省H.P.によると「環境負荷の少ない、循環を基調とする経済・社会の構築と、地球上のすべての生物が健康をまっとうする暮らしの実現」とあります。今流行りのChatGPTの解説は以下の通りです。 「生命文明社会は、現代の文明社会が抱える環境問題や地球環境の悪化、気候変動などに対する解決策のひとつとして提唱されています。これまでの文明社会が、経済成長や技術の発展に重点を置き、地球環境に対して多大な負荷を与えてしまったのに対し、生命文明社会は、環境保全と持続可能な発展を両立させることを目指します。」(恐るべしAI!) さて、我らがリモセン技術はこの新たな社会の創造に如何に貢献できるのでしょう?ドローンのコラムにも書きましたが、リモセンも同様に「隔測技術vs戦略兵器」という二面性を持つ技術です。厳しい見方をすれば、リモセンから何を生み出すのかは利用者の行動原理次第、とも捉えられます。 「環境と文明の発展を望むなら、調和できる部分も不都合な矛盾も、その両方を肌身で感じ獲れ。」そして「現場で感じた本能を信じろ(時々間違っているだろうけれど)。」が精一杯です。些細な現地の人との会話から、斬新な次の一手が見つかり発想が確信に変わる。そんな瞬間が、特に次世代を担うリモセン関係者に訪れることを願っています。 ベトナム北部(クァンニン省ドンズイ村)のマングローブ植林地で衛星画像判読結果の確認と毎木調査を行う筆者(2012/09/18) ~先ず現場を歩き、人と語り合ってみませんか?~ 環境・生命文明社会のためのリモートセンシング

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