日本リモートセンシング学会・問題生態系計測研究会
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8開発した手法により,ガリー侵食域を抽出したところ,ガリーの先端部や中央部などでうまく抽出できなかったものもありますが,広域の分布状況の把握に十分な情報を得ることができました.こうしたガリーが,どの程度の速さで発達し,農耕地の生産力に影響を与えるようになるかは関心のあるところです.対象地域は,近年にも森林伐採による農耕地の拡大傾向が見られたため,多年次の森林域の分布を衛星データ(2010年はALOS/AVNIR2,他の年はLandsat/TMまたはETM+)から求め,その上にガリー侵食域を重ねることで分析を行いました.森林域では,地表が樹木に覆われているためガリー侵食は発達しませんが,図4に示したように,近年に森林伐採された土地においても発達したガリー侵食が確認できました.これにより,本対象地域では,数年という短い時間スケールでガリー侵食の発生から発達した状態まで進行するケースがあることが判りました2). ■ 参考文献 システム農学,31-1,pp.11-20,2015. 1. 内田 諭,南雲不二男:高分解能衛星データを用いたガリー侵食域抽出手法の開発,2. Uchida, S. and F. Nagumo: Extraction of Gully Erosion Features on Hilly Corn Field in the Northern Luzon Island of the Philippines Using Satellite Remote Sensing Data, The 36th Asian Conference on Remote Sensing, TH4.2.1, Manila, 2015.

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