日本リモートセンシング学会・問題生態系計測研究会
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図3にデジタル空中写真の目視判読と現地調査を通して作成した植生図とUAV画像・人工知能を用いて作成した植生分類図の比較を示します。人工知能は、河川内の陸図2 衛星画像、デジタル空中写真、UAV画像の比較 査手法(デジタル空中写真の目視判読と現地調査)を用いて作成した植生図と同様の分類図を自動作成できる可能性を見いだしています。 域、水域を明瞭に識別し、優占する植生を判読しています。人工知能を用いた植生図の自動作成には多くの検討を必要とする段階ですが、多額の費用が必要となるデジタル空中写真の目視判読と現地調査を通して作成した植生図と比較して、適切なコストで植生分類図を高頻度作成できれば、樹林化の進行が著しい区間の植生の監視に応用できる可能性を持ち、今後研究の進展が望まれる技術です。 河川生態系の特徴は、「自然作用による攪乱とそれに伴う河道地形と生物群集の変化」と表現できると思います。河川中流域において、樹林化により失われる砂礫河原は、砂礫河原に依存する河川固有の生物の持続を脅かし、流下能力の低下を引き起こし、流域社会の持続性を脅かします。この問題生態系を適切に管理するには、様々なリモートセンシング技術をその特性に基づき組み合わせ、人工知能等の最新技術を適用し、有用な監視技術へ発展させることが必要です。これらの技術革新を活用した河川生態系管理が期待されます。 141流域スケールで均質な解像度の画像数年に一度の撮影頻度。解像度はUAVよりも低いが、広い区間における樹林化の進行が穏やかな区域の監視に適切。樹林化の進行が早い特定区間を高頻度・高解像度に撮影細粒土砂の堆積や草本・樹林の初期侵入を検出できるため、樹林化の進行が早い区間の重点監視に適切。

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