日本リモートセンシング学会・問題生態系計測研究会
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ヨシは,単子葉類イネ科に属し,草高は1mから3m,葉の長さは20cmから50cm,根圏は地下60cmから100cmに及ぶ多年草の抽水植物であり,北海道から沖縄まで全国各地の河川や湿地に広く分布している。以前は,茅葺屋根等の材料として利用されてお 図1 北上川河口に広がるヨシ原の位置 り,職人らによる冬の刈り取りや春の野焼きは風物詩であった。さらに,ヨシ原は多くの野鳥や水生生物を育み,水質浄化にも役立ってきた。 宮城県石巻市に位置する北上川河口(図1の黒色箇所)には,日本有数のヨシ原が広がっており,ヨシが風に揺れる音は,1996年に「残したい日本の音風景100選(環境省選定)」1)にも選ばれている。しかし,日本の原風景とも言える北上川河口のヨシ原は,2011年3月11日に発生した東日本大震災によって甚大な被害を受けた。震災前の北上川河口付近には,約180haのヨシ原が広がっていたが,震災により河口から約10kmにかけての約100haのヨシが失われた。震災から約6年経過した現在においても,ヨシ原の大部分は再生していない。図2,図3および図4は,それぞれ震災前年の8月下旬,震災の年の7月中旬および2016年9月中旬に撮影されたLANDSAT画像をフォルスカラー合成したものである。なお,空間解像度は,いずれも30mである。これらの画像か 牧 雅康・山田 一裕(東北工業大学) GoogleEarth へGoogleEarth へ 143大震災後のヨシ原はどうなっているのか? 東日本大震災によって被災した北上川河口ヨシ原 の再生状況

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