日本リモートセンシング学会・問題生態系計測研究会
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化に富んだ地形を巧みに利用しながら,多種多様な生物種が互いに棲み分け,豊かな河川生態系をつくりだしています.特に,蛇行して流れる河川に発達する深く流れの遅い「淵」と浅く流れの速い「瀬」の繰り返しは,魚類や底生生物の分布と密接な関係があることから,河川生態系を保全するうえで重要な要素となっています.しかし,治水や利水を目的とした河川改修によって,日本では多くの蛇行河川が失われてきました. 図1の左写真は,北海道の北部,宗谷丘陵を流れる猿払川支流の春の様子を捉えたものです.その源流域にはいまも典型的な蛇行河川が残され,絶滅の危機に瀕する日本最大の淡水魚「イトウ」が生息しています.雪解けの増水が引き始める4~5月頃には,図1の右写真のようなイトウの成魚たちが上流部に向けて一斉に遡上を行い,「淵」から「瀬」に移行する川底に産卵床を掘って卵を産みます1).図2は航空機に搭載した写真測量用デジタルカメラで,図1の写真と同じ場所を同じ時期に撮影した画像です.こ図1.北海道北部の宗谷丘陵を流れる蛇行河川(左)とそこに棲むイトウ(右) 島﨑 彦人1,福島 路生2 (1 木更津工業高等専門学校 2 国立環境研究所) 自然河川には,水の流れによって形成された複雑で多様な地形が見られます.その変GoogleEarth へGoogleEarth へ 147源流域のイトウは元気なのか? 絶滅危惧種イトウが生息する源流域小河川の環境監視

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