日本リモートセンシング学会・問題生態系計測研究会
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163国立の研究所に転職した後、極東ロシアのアムール川周辺(写真1)や北海道狩別川の源流域(写真2)、アジア最大の国際河川メコン(写真3)を訪れる機会が何度かあった。現地に赴くことで、人々の暮らしと川との密接なかかわり、川に棲む生き物の力強さ、川の流速や水深、底質の種類、水質、水温などの変化を肌で感じることができた。自分の目の高さで現場を見て、何かを感じとることができたのは、比較対象としての自然体験があったからかもしれない。 衛星画像を解析し、遠く離れた土地の自然環境を予測する。予測結果の信頼性を検証するため、現地に足を運んで調査する。いま、そうした仕事に携わっているのは、ふるさとの自然の中で過ごした楽しい思い出と無関係ではないだろう。子供のころに感じた自然の不思議な魅力や自然のなかで暮らす人々の逞しさとおおらかさは、いまだに私の心を動かし続けている。未来を担う子供たちや若者に、自然と触れ合う素晴らしさ、自然の仕組みを理解して生きることの大切さをできるだけ伝えていきたい。 写真2 雪解け水が流れる北海道狩別川の源流域を産卵のために遡上する日本最大の淡水魚イトウ。春に繁殖期を迎えると、オスは頭部より後ろが赤色の婚姻色に変わる(2007年5月1日撮影) 写真3 国際河川メコンのコーン滝。メコンの左岸と中州のパペン島の間にあるこの滝は、幅10kmを超え、滝幅世界1位である(2008年5月13日撮影)

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