日本リモートセンシング学会・問題生態系計測研究会
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取得された分解能が数メートル以下の高解像度のデータを用いると検出可能性が大幅に向上することが示されている5)。一方,白化して斃死したサンゴはすぐに藻類に覆われ,藻類はサンゴに共生する褐虫藻と似た反射特性を持つため,スペクトル情報を用いた分類に生物の分布特性やテクスチャなどの情報を用いた判読を併用することによって分類精度が向上する場合が多い。本稿では,航空機による画像撮影及び取得された画像の判読を行ってサンゴ分布図を作成し,過去に空中写真と衛星データで作成されたサンゴ分布図と比較することにより,高水温による白化現象後のサンゴ礁の変化を明らかにした取組を解説する。 182Fig. 1 Sekisei Lagoon (a) and Yabiji (b). DHWは,1985-1990年と1993年に衛星観測で得られた水温の平均を平年値とし(1991年と1992年はピナツボ火山の噴火の影響があるため除外されている),そこからのずれを週単位で集計した値で,例えば平年より1˚C高い水温が4週間続くとDHWは4となる。平年より2˚C高い水温が2週間続いた場合も同様である。DHWが4を超えると白化現象が起こり,DHWが8を超えると白化現象によるサンゴの大量死が起こると判断する。DHWはこれまでの白化現象や斃死記録と対応が良いことが示されており4),NOAAのサイト(https://coralreefwatch.noaa.gov/satellite/index.php)で定常的に計算されて公表されている。 一方,サンゴの白化現象自体をリモートセンシングでとらえる試みもなされており,検出限界はデータの空間解像度に依存し,Landsatシリーズが持つ30m程度の分解能ではごく一部の大規模な白化現象しか検出できないが,航空機や高分解能衛星でStudy sites and the areas of investigation (white squares; see Fig. 5).

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