日本リモートセンシング学会・問題生態系計測研究会
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「我が国最大の卓状のサンゴ礁群としても重要」として,八重干瀬は名勝及び天然記念物に指定された。石西礁湖を含む日本のサンゴ礁が陸の近くに成立して陸からの影響を受けやすく,水温と陸域負荷が複合するのに対して,八重干瀬の大きな特徴は陸域から離れていることであり,水温上昇がサンゴ礁に与える影響を直接観察することが可能と考えられる。 沖縄近海では過去100年で年平均水温が0.8~1.2度程度上昇しており(http://www.data.jma.go.jp/kaiyou/data/shindan/a_1/japan_warm/japan_warm.html),1998年には水温上昇による大規模白化現象によってサンゴ被度が大幅に減少した7)。1998年の高水温の主な原因はエルニーニョであったが,地球温暖化にともなって平均水温が底上げされており,高水温による白化現象が起こりやすくなっていると推測される。その後も沖縄では2001年,2003年,2007年,2013年,2014年にも白化現象が起こり4),2007年においては,特に石西礁湖での被害が大きかった。さらに,2016年の全球的な大規模白化現象によって沖縄のサンゴ礁も壊滅的な打撃を受けた8)。Fig. 2にNOAAによって公表されたDHWを示す。2007年,2016年ともに沖縄周辺の水温が平年より上昇していることがわかる。石西礁湖,八重干瀬ともにこれらの高水温による白化現象の影響を大きく受けたと考えられる。 184Fig. 3 Photograph of “Asuka” and the survey team.

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