日本リモートセンシング学会・問題生態系計測研究会
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Fig. 5に過去のサンゴ分布図と新たに作成したサンゴ分布図を示す。石西礁湖,八重干瀬両方において,白化によってサンゴ被度が激減していることがわかる。八重干瀬において8月の月平均海面水温データ11)とサンゴ分布図を重ねると,北東において水温が高く,これによって八重干瀬北東部において斃死したサンゴが多かった可能性がも60%程度のオーバーラップで画像撮影を行った。 撮影された画像を現地で取得した底質情報を用いて判読を行った。現地においては,すでに作成された2003年(石西礁湖)及び2008年(八重干瀬)の分布図及び日本全国みんなでつくるサンゴマップ(https://www.sangomap.jp)に投稿されたサンゴ白化情報を参考に,変化が激しいと思われる場所を中心に目視観察調査を行った(Fig. 4)。観察の際には,GPSを装着したブイを携行してスノーケリングを行い底質の状況と位置を記録した。石西礁湖に関しては,2007年夏の白化後のサンゴの状況を記録した50地点のデータ10)も判読の際の参照データとして用いた。判読した情報を用いて2003年(石西礁湖)及び2008年(八重干瀬)の分布図を更新した。 示唆された。近年,水温を含む環境要因と白化現象の発生地点のデータを用いたサンゴ白化発生予測に関するモデル解析が進展しており12) 13),本稿で示した成果によって予測の精度を向上できる可能性がある。 航空機によって高解像度での観測と画像の判読による分布図作成が可能となり,白化後のサンゴ礁の変化を把握することができる。また,衛星データの活用においては,本調査の結果を参照データとして活用することにより,さらに広域での分布図作成が可能となることが期待される。2008年にALOS AVNIR2を用いて作成された分布図において,本稿で紹介した石西礁湖の結果が分布図作成に活用された。さらに,環境省により衛星データを活用した最新のサンゴ分布図作成が現在進行しており,八重干瀬の成果が活用されている。 陸域の影響が無いと考えられる八重干瀬において大規模白化とその後のサンゴの斃死が起こったことは水温上昇の影響の深刻さを物語っている。今後,水温のさらなる上昇によって白化現象の規模と頻度が増大する可能性があり,その実態把握と対策立案のためにリモートセンシングを活用した定期的なモニタリングが望まれる。 ■ 参考文献 1) C. Wilkinson: Status of coral reefs of the world: 2008. Global Coral Reef Monitoring 18744..結結果果ととままととめめ Network, Townsville, Australia, pp. 298, 2008.

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