日本リモートセンシング学会・問題生態系計測研究会
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バングラデシュの沿岸地帯は自然地理,土壌,水文,および気候特性の違いに基づいて大きく8つの農業地帯(AEZ: Agro-Ecological Zone)に区分されています。このうち,多様性や脆弱性,土地利用改変の発生程度などを考慮して,図1に青枠で示した3つのエリアに着目しました。 図2aは西部のガンジス潮津波氾濫原(AEZ13:Ganges Tidal Floodplain)の代表的なエリア(図1A)の土地利用変化を見たものです。この区域は全沿岸地帯の約49%を占め,非常に平坦なシルト質粘土主体の後背低地が高さ1mに満たないローム土壌の自然堤防で河川に接しています(図3a)。エリアAでは1989年には約65%が単作(Aman稲作の一毛作)であったものが2010年までに約17%まで大幅に減少し,逆に,エビ養殖池は同期間に約7%から約50%に大きく増加していました。この間,マングローブ林や河川域は微減,水域は微増に対して,居住地には11%を超える増加がみられました。この間に急増したエビ養殖池は主に農耕地や居住地,河川域からの転換されたもので,居住地の急増は農耕地の転換によるものでした(図3b)。 図1 衛星画像で見たバングラデシュ沿岸のデルタ地帯 注) 1989年1月のLandsat画像6枚から作成。近赤外・赤・緑の波長帯を赤・緑・青色に割り付けており,植生繁茂度が高いところほど赤の濃く表示されている。マングローブが保全されているシュンドルボン国立公園とそれ以外では明瞭な差異がみられる。青枠A・B・Cは詳細な土地利用変化を解析したエリアを示す。 190

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