日本リモートセンシング学会・問題生態系計測研究会
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伊東 明彦(ツクリエ) (c)千葉大学野波研 205写真1:産業用無人ヘリ 写真2:ミニサーベイヤー ドローン分野への関わりとリモートセンシングへの取組み 私のドローンへの関わりは、平成17年から19年にかけて実施したJAXA宇宙オープンラボ「衛星と産業用無人ヘリを融合した被害推定のモデルを検討」からとなります。この事業は、衛星や地上での観測手段を用いて、水稲の被害に伴う収量を推定するモデルを作るものであり、地表面が雲で覆われる等、衛星データが撮影できないことを想定し、地上で産業無人ヘリを利用した撮影方法を検討しました。撮影方法は、産業用無人ヘリに輝度を計測するセンサを搭載し、地上数メートルから計測する方法、地上50〜100mの高高度からマルチスペクトルカメラで撮影し、撮影したデータをモザイク処理し、結合する方法など、これら撮影時の課題の抽出や課題への解決方法などの検討を行ってきました。更に、この事業は、平成20年度から農林水産省の「衛星画像を活用した損害評価方法の確立事業」で引継ぎ、航空機・産業用無人ヘリ・小型固定翼無人機を利用した検討を実施するに至っています。 これらの経験を経て分かったことは、衛星リモートセンシングより、ドローンによるリモートセンシングの方が、処理過程において、多くの課題を有するということでした。例えば、ドローンを用いて、1つの圃場を撮影するためには、僅かに撮影する時刻が異なる画像を結合する必要がありますが、この僅かな時間の違いで、輝度の状態が刻々と変化していることはあまり知られておらず、多くのデータを処理していると気付く課題です。 上記の事業では、上述しているように産業用無人ヘリ、航空機、小型固定翼等を利用していましたが、平成23年頃から海外でマルチローター型の無人機が製造され始め、輸入され始めました。このような中、マルチローター型の無人機を開発している国内研究者を探したところ、千葉大学でマルチローター型のヘリコプターを開発している野波健蔵教授を知り、連携を申し入れました。野波氏が開発している機体は、「ミニサーベイヤー」と名付けられており、野波氏には、「ミニサーベイヤー」の製造・普及を推進するためのメーカーと産業団体を立ち上げるべきと話し合い、2012年に「ミニサーベイヤーコンソーシアム」を立ち

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