日本リモートセンシング学会・問題生態系計測研究会
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 近年,各種の生態系における土地,水,植生,環境因子等の質と量の劣化が国内および世界各地で顕在化し大きな問題になっている。ここではこうした問題を持つ生態系を問題生態系と総称する。問題生態系においては,時空間的な変動を広域的にとらえ,評価し,変動の要因を解明することが不可欠である。また,衛星データによってしか基本データが得られないなどの地域も少なからず存在する。従って,リモートセンシングをはじめGIS・モデル等空間情報技術による計測・評価は,問題生態系の研究と問題解決にきわめて重要な役割を果たす(図1)。  リモートセンシングで使われるセンサーには空間解像度やスペクトル分解能などさまざまな制約があり,問題解決のためには,問題生態系で必要とされている計測の必要条件を明らかにした上で,活用可能なセンサーの選定あるいは将来的なセンサー設計への提言につなげる必要がある。本稿においては,各種の問題生態系において,応用場面と,その計測に必要なセンサーの要件を収集した結果を報告する。 1.はじめに 210図1.タリム河流域の農地開発と環境問題。生態系の破壊,土地の荒廃,沙漠化等いくつかの要件がリモートセンシングにより計測可能(作図:石山 隆)。山野 博哉・石原 光則・石山 隆・川村 健介・小松 義典・作野 裕司・島崎 彦人・井上 吉雄問題生態系計測研究会付録資料生態系の問題解決に向けたリモートセンシングの応用場面とデータ要件

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