日本リモートセンシング学会・問題生態系計測研究会
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■ 参考文献1.C. Mellin, S. Andréfouët, M. Kulbicki, M. Dalleau and L. Vigliola : Remote sensing and fish-habitat relationships in coral reef ecosystems: review and pathways for systematic multi-scale hierarchical research. Marine Pollution Bulletin, 58, pp. 11-19, 2009. J.E. Nichol, A. Shaker amd M.-S. Wong : Application of high-resolution stereo satellite images to detailed landslide hazard assessment. Geomorphology, 76, pp. 68-75, 2006. P.J. Mumby and A.J. Edwards : Mapping marine environments with IKONOS imagery: enhanced spatial resolution can deliver greater thematic accuracy. Remote Sensing of Environment, 82, pp. 248-257, 2002.  問題生態系を対象としたリモートセンシング等空間情報技術による計測・評価研究にかかわる横断的な情報交換,国内外の研究連携,学術的提言を進めることを目的に,日本リモートセンシング学会において,2008年に「問題生態系計測研究会」が立ち上がった(http://www.rssj.or.jp/kenkyuukai/PERS/index.html)。各問題生態系において,応用場面と,それらのモニター範囲(観測の空間的広がりに相当),精細度(空間解像度に相当),モニター周期(データ取得周期,回帰日数に相当),伝達時間(データ取得から処理・加工・情報化を経て提供にかかる時間に相当。観測時点からのちどのぐらいの時間内にユーザの手元に届ける必要があるか),そしてそれらに利用可能なセンサーと解析手法に関して研究会の会員を中心にアンケート調査を行い,結果をメーリングリスト上及び会合において議論した。  各問題生態系における応用場面とセンサーの要件を表1に示す。各応用場面は,リモートセンシングによって計測可能な項目と計測不可能な項目に大きく分けられ,計測可能な項目は,生態系そのものの分布や機能を評価する項目(例:植生分布)と生態系の基盤や生態系をとりまく環境となる項目(例:地形,温度)に区分して整理することができる。計測不可能な項目に関しても,リモートセンシングが活用可能な場合がある。例えば,害虫の発生は直接検出することは不可能であるが,植物の分布や環境要因によって間接的に推定することが可能であろう。また,個々の生物の検出は不可能でも,ハビタットの面積や地形から生物分布や多様性を推定することが可能な場合がある1)。  今後は,まだ収集できていない生態系(森林,高山,外洋,雪氷など)の情報の収集を行って生態系横断的なリモートセンシング手法を探索すると同時に,収集した情報に関する高度化を行う必要がある。例えば,分布図作成においては,必要とされる分類項目を明らかにする必要があるであろう。また,リモートセンシングのデータ解析は誤差を含むため,各応用場面で要求される精度を明らかにし,コスト(データ価格や処理時間)とベネフィット(精度)を明らかにしてユーザに対して選定材料を与えることが必要である。こうした試みは,地滑りの検出2),サンゴ礁のハビタット分布3),サンゴ礁域の海岸線抽出4)でなされているが,まだ事例は少ない。  今後、リモートセンシング科学の分野においては、より先進的なセンサ(例:ハイパースペクトルセンサ,Lidar)やプラットフォーム(例:コンステレーション衛星、ドローン)の開発や実用化が進むと期待されるが,多様な生態系問題への高度活用の観点からは、今回収集整理したようなかかわる情報の収集・整理・共有を進める必要がある。 3.収集結果と今後の課題 2.方法 2.3.4.H. Yamano, H. Shimazaki, T. Matsunaga, A. Ishoda, C. McClennen, H. Yokoki, K. Fujita, Y. Osawa and H. Kayanne : Evaluation of various satellite sensors for waterline extraction in a coral reef environment: Majuro Atoll, Marshall Islands. Geomorphology, 82, pp. 398-411, 2006. 211

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