日本リモートセンシング学会・問題生態系計測研究会
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竹は竿などの日用品の材料として,あるいは筍は食料品として活用されてきた身近なGoogleEarth へGoogleEarth へ 16存在である。しかし,生活スタイルの変化に伴い,日用品として使われることはほとんどなくなってきている。また,農村での人手不足もともない,手入れの行き届いていない竹林が増加している。 竹の特徴は地下茎によって拡張すること,成長が速いことである。そのため,手入れが行われていない竹林は日が差さない薄暗い環境になるとともに,他の植生域へ侵入していくため生態系にとっても大きな問題になっている。その現状を把握するために航空写真,あるいは衛星画像による調査が各地で行われている。ここでは京都府・大阪府・奈良県にまたがる京阪奈地域の竹林の現状を報告する。この地区は昔から竹林が多く,図1の写真のように,山一面が竹林で覆われていることがJRあるいは近鉄の車窓からも見ることができる。 図2は2015年1月24日に撮影されたLandsat-8のOLIの画像である。白線がJRと近鉄の路線を示す。赤い矢印は図1の撮影場所と方向を示す。赤い枠線の一帯が京田辺・山城地区であり,その中の明るい薄緑色の部分が竹林であり,その右上の濃い緑の部分が落葉樹林である。枠線の右外の明るい薄緑色の部分は竹林でなく,茶畑である。 京田辺・山城地区のALOSのAVNIR-2の2010年のパターン展開法による解析の結果2)を図3に示す。AVNIR-2は青・赤・緑・近赤外の4バンドであり中間赤外バンドはな落合 史生(奈良女子大学) こと 都市近郊の竹林に起きている衛星でとらえた京阪奈地域の竹林の変動 1985年と1999年のLandsat-5による最尤分類法を用いた竹林の抽出が京田辺・精華・山城地区と八幡地区と淀川と挟んだ長岡京・大山崎地区について行われ,京田辺・精華・山城地区では竹林が1985年の20.1%から1999年の23.5%と増加していたとの報告がある1)。特に,山城地区(4.0km×1.7km)に関しては1948,1961,1974,1985年の航空写真と2000年の地形図から目視判読で竹林が抽出され,1948年123.7haから2000年の361.9haと3倍に増加していたと報告されている。

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