日本リモートセンシング学会・問題生態系計測研究会
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GoogleEarth へGoogleEarth へ 21里地里山は,人間活動の影響を受けて形成,維持されてきた場であり,人間の手によって管理された自然すなわち「二次的な自然」を主な構成要素としています。里地里山は,農地,森林,集落などが近接し,モザイク状の景観を呈していることで多様な動植物の生息地となっています。近年では,里地里山に代表されるような二次的自然を最適に利用・管理することを通じて,人間と自然環境の持続可能な関係を再構築することを目的に,「SATOYAMA INITIATIVE」が日本の環境省と国連大学高等研究所によって提唱されています。里山のような二次的自然や里山に類似するモザイク状の農業的景観の価値は,世界各地であらためて認識されています。例えば,農地を含む景観の土地利用のモザイク性の高さと生物種の豊かさには正の相関が認められています1,2)。農業景観のモザイク度を評価することは生物多様性の空間的な評価につながります。 ところで,農地とそれ以外の自然的土地利用が混在する空間を里地里山的な空間と想定してSatoyama Index3)(以下SI)が提唱されています。このSIを提唱した論文では,全球規模を対象にMODISによって得られた土地利用図を用いて農業景観のモザイク度の評価が行われました。SIは農地を軸として農業景観のモザイク度を表す指数で,農地とそれ以外の自然的土地利用/土地被覆の組み合わせが多様であるほど高い値を示すように定義されています。SIの取り得る値の範囲は0~1となっており,例えばある計算範囲が全て農地であった場合は均一な空間と言うことでSI=0,農地がありなおかつ様々な自然的土地利用/土地被覆で構成されている空間はSIが1に近づきます。なお,都市的空間は計算対象から除外されます。また,農地を含まない空間はSI=0となりますので,例えば全てが森林で覆われている空間はSI=0となります。我々はこのSIを用いてローカルスケールの里地里山マッピングが実現できるのではないかと考えました。ローカルスケール(ここでは県域スケール)でのSIの適用可能性を検討すること村上 拓彦(新潟大学) 多様な生物がいる里山はどうなっているのか 農地を囲む土地利用の空間分布パターンと里地里山の 生物多様性保全

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