日本リモートセンシング学会・問題生態系計測研究会
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そのため野生動物の個体数変動推定法について,様々な研究が行われています.これ 26らは,対象種そのものを用いる「直接的な手法」と,糞や足跡などの痕跡を用いる「痕跡などを用いた手法」に分けられます.各手法の詳細説明は省略しますが,直接的な手法には,区画法・再捕獲法・ライトセンサス・カメラトラップなどがあります.痕跡などを用いた手法には,糞粒法・足跡法・ヘアトラップなどがあります.また農作物被害・車や列車との衝突事故被害・狩猟による捕獲頭数による個体数変動推定や,現地調査で異なる環境ごとに個体数密度を求め,同一の環境条件であれば同程度の個体数密度であるという仮定の下,環境変化による個体数変動予測なども行われています. しかしこれらの手法は限られた領域でしか行えず,調査に人手と手間がかかるといった問題があります.そのため観測対象に影響を及ぼすことなく,広範囲のデータが得られるリモートセンシングを用いて,野生動物及びその生息環境に関する情報を得る「動物リモートセンシング」が必要となります(図2).近年,対象個体を捕獲して,首輪などを使って位置・温度・加速度を計測できるセンサやカメラを装着した後に放獣することによって,対象個体の生態を調査する「バイオロギング」が数多く行われておりますが,捕獲ストレスや,首輪などの装着による影響が少なからずあることが懸念されているため,本対象外とします. 図2 リモートセンシングを用いたモニタリング 図1 順応的管理の概念図 図3 リモートセンシング画像に写ったシカ (赤い円の中心)

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