日本リモートセンシング学会・問題生態系計測研究会
50/222

44 図6に示した換金作物(紙原料)のカジノキを組合せて10年程度休閑する生態系管理シナリオ4、5では、地域総収益を確保しつつ生態系炭素量を増強できる可能性が明らかになっています。村人たちにとって最も重要な食糧生産・収益性や森林資源の持続性と、大気中の二酸化炭素の削減を同時に成立させ得る環境破壊リスクの少ない生態系管理シナリオのひとつとして有望です。 近年、この地域の焼畑面積の拡大傾向は、土地利用規制等の行政施策や上記のような換金作物を組み込んだ生態系管理方法の導入等によって抑制されはいますが、最近のLandsat -8の画像(図3)に明らかなように、非常に広範な地域で焼畑耕作が続けられています。 地球観測衛星群は、この事例のように地上調査ではとらえることのできない広域・長期にわたる生態系問題の理解と解決策に不可欠なものになっています。 ■文 献 1) Inoue, Y. et al. Assessing land use and carbon stock in slash-and-burn ecosystems in tropical mountain of Laos based on time-series satellite images. International Journal of Applied Earth Observation and Geoinformation, 12, 287-297, 2010. 2) 井上吉雄. 時系列衛星データによる土地利用履歴と生態系炭素ストックの広域評価-ラオス山岳熱帯農林生態系における事例から-. 日本リモートセンシング学会誌, 31: 45-54, 2011. 3) http://www3.nhk.or.jp/news/taiki/

元のページ  ../index.html#50

このブックを見る