日本リモートセンシング学会・問題生態系計測研究会
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47図3 カンボジア王国コンポントム州の森林の画像 Sentinel-2 (2020年01月6日取得, RGB=SWIR, NIR, R, 10m分解能)(左) The source data were downloaded from ESA’s Copernicus Open Access Hub 5). UAVから撮影された画像(2020年1月9日撮影)(中央) 択的に伐採されるため,特定の種の樹木に依存している生物に影響を与える。このため,森林炭素量の把握や生物多様性の保全のためには,これらを的確にモニタリングする必要がある。図3(左)は,空間分解能10mの光学センサSentinel-2より撮影されたカンボジア王国コンポントム州の森林である。この画像から,伐採されて農地転用された場所,草地化した場所などは明確に判読できる。しかし,森林部分では,緑色の濃淡があり,森林の状態を反映していると思われるが森林劣化の状況は明確にはわからない。これに対して,図3 (右)に示すUAVを用いたオルソ写真では,衛星画像からは判読できないギャップ(樹木の枯死や択伐により林冠が開いた状態)やトレイル(林内の小径。カンボジアでは小型バイクなどにより林産物の運搬が行われている)など詳細な森林の状況を把握することができる。また,SfM処理(UAVなどにより撮影された複数の写真から3次元モデルを生成する技術)により林冠高や林冠形状を解析することで森林劣化の様子を詳しく捉えることができる。しかしながら,UAVで撮影できる範囲には限りがあり,広域の森林劣化を捉えることは難しい。広域の森林劣化を効率的に把握するため,安価かつ高解像度な光学衛星画像,林冠の高さや3次元構造を観測できる衛星LiDAR,森林バイオマスを直接観測可能な合成開口レーダなどの活用が期待されている。 ■ 参考文献 1. 鳥山淳平:熱帯季節林域の常緑・落葉林の分布と立地環境,海外の森林と林業,80,pp. 23-27,2011. 2. 国土地理院:Geospatial Information Authority of Japan,https ://www.gsi.go.jp/kankyochiri/globalmap.html(Accessed 2020) 3. Ministry of Environment: Cambodia Forest Cover 2016, Ministry of Environment, Phnom Penh, 2018. 4. Ministry of Environment: Cambodia Forest Cover 2016, https://redd.unfccc.int/uploads/ 54_3_cambodia_forest_cover_resource_2016_english.pdf (Accessed 2020. 08. 17) 5. ESA: Copernicus Open Access Hub, https: //scihub.copernicus.eu/dhus/#/home (Accessed 2020)

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