日本リモートセンシング学会・問題生態系計測研究会
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え 今日、人為由来の二酸化炭素排出量の20%近くが熱帯林の破壊によると指摘され、熱帯林の減少と劣化が国際問題になっています。泥炭湿地林では生木の木部だけではなく、GoogleEarth へGoogleEarth へ 48枯死した樹木が堆積して泥炭として地中に蓄積され、炭素の貯留源となっています。このため、森林が破壊されると地上と地下の炭素が大気中に放出されます。1996年から1999年にかけて、インドネシア中央カリマンタン州では泥炭湿地林を水田へ転換することを目的として、メガライスプロジェクトと呼ばれる大規模な森林開発が行われ、湿地林を開発するために、巨大な排水路を建設して湿地の乾燥を促しました1)。メガライスプロジェクトは頓挫して見直されましたが、エルニーニョの年には降雨が少なくて乾燥するため、森林火災が発生することが多く2)、森林の劣化が続いています。 この地域の1973年、1990年代前半、2000年と2007年の森林分布をLandsat、MOSとALOSのデータでマッピングして変化を解析しました(図1)。約10,600 km2のメガライスプロジェクトのエリア内の森林は、1973年時点では約6,300km2でほとんどが一次林でしたが、2007年までに約1,300 km2まで減少し、当初の一次林の約80%にあたる5,000 km2もの森林が失われました(表1)。一次林の減少面積は福岡県の面積に匹敵し、現在は西部と北部の外部の森林との境界部分に一次林が残っています。1990 年代前半から2000 年までの一次林の年間の減少面積は約310 km2と他の期間よりも大きく、1997かメガライス対象面積森林面積 (km2)森林率 (%)1973年森林域の変化森林面積 (km2)面積率 (%) 1973年=100 減少速度(km2)/年表1 メガライスプロジェクトのエリア内の森林面積の変化 19731990s10635.66284.259.15779.454.36284.24332.968.997.6200020073294.931.03285.430.92166.734.5309.51292.520.6124.9粟屋 善雄(岐阜大学) インドネシア湿地林開発のゆく泥炭湿地林が消えてゆく

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