日本リモートセンシング学会・問題生態系計測研究会
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ら1998年にかけて発生したエルニーニョ時の大火災によって大面積の森林が消失したことを示していると考えられます1)。2000 年から2007 年までの森林の減少は鈍化していて、森林面積は約3,300 km2で横ばいになっています(表1)。しかし、一次林が減少していることから、森林の劣化が進んでいることが分かります。 この地域では頻繁に森林火災が発生していること2)、全木が倒れるような森林被害が49図1 森林分布の経年変化(中央カリマンタン) 背景 PALSAR 2007年7月(Kyoto & Carbon Project) 白色のポリゴン:1973年の森林域 普通に生じていること、原野が一次林にまで再生するのは容易ではないこと、および現地の状況(図2)を考慮すると、中央カリマンタンでの変化を次のように要約できます。一次林が火災で激害地になると根が燃えるため樹木は全て倒れます。樹木の成長が早いので10年程度で森林への遷移が始まると思われますが、繰り返し火災を受けて原野化する可能性が高いでしょう。火災の頻度が高いため、原野が森林として再生できる可能性は極めて低いと考えられます。表1では森林減少に歯止めがかかったように見えますが、森林の劣化が続いています。今後も残された一次林が焼失した後、再生の過程で再

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