日本リモートセンシング学会・問題生態系計測研究会
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ココララムム井上 吉雄(東京大学) 井上 吉雄(東京大学) ラオス北部~タイ~中国に広がる山岳地帯では ラオス北部~タイ~中国に広がる山岳地帯では焼畑移動耕作が長く行われてきた(本書解説「東南焼畑移動耕作が長く行われてきた(解説記事p.39アジア山岳地帯の焼畑生態系の役割と問題」参照)。「東南アジア山岳地帯の焼畑生態系の役割と問題」この農法では、十分成長した森林の区画を選定して参照)。この農法では、十分成長した森林の区画を乾季の終わりに伐採・乾燥・火入れし、燃焼させた選定して乾季の終わりに伐採・乾燥・火入れし、燃跡地に、作物(陸稲のほか、ハトムギ、ゴマ、ソル焼させた跡地に、作物(陸稲のほか、ハトムギ、ゴガムなど)を栽培する。数年間栽培して収量が低下マ、ソルガムなど)を栽培する。数年間栽培して収するころにその区画は放棄して、次の区画に移動量が低下するころにその区画は放棄して、次の区画し、放棄地の植生が十分に再生・回復したころに再に移動し、放棄地の植生が十分に再生・回復したこ度同様なサイクルを繰り返す。この農法は山住みのろに再度同様なサイクルを繰り返す。この農法は山人々の人口が少ない時代には、十分成立していた。住みの人々の人口が少ない時代には、十分成立して化学肥料・農薬・農機は一切使わず、急な斜面で食いた。化学肥料・農薬・農機は一切使わず、急な斜糧を生産する環境保全的・持続的な農法であった。面で食糧を生産する環境保全的・持続的な農法であ山火事に広がらないような周到な伐採・火入れ法なった。山火事に広がらないような周到な伐採・火入ども伝承されていた。しかし、人口増加とともに森れ法なども伝承されていた。しかし、人口増加とと林破壊、大気汚染農法として問題視されるようになもに森林破壊、大気汚染農法として問題視されるより、国際問題としてさまざまな研究や施策が打ち出うになり、国際問題としてさまざまな研究や施策がされるようになったことは周知のとおりである。筆打ち出されるようになったことは周知のとおりで者らの同山岳地帯での地域研究もその一環といえる。我々はこのような山岳の焼畑生態系ある。筆者らの同山岳地帯での地域研究もその一環といえる。我々はこのような山岳の焼畑の炭素循環の定量的解明、そして陸域生態系管理の改善による炭素固定力増強の可能性を生態系の炭素循環の定量的解明、そして陸域生態系管理の改善による炭素固定力増強の可念頭に研究を進めた。その要約は本書解説に紹介したとおりである。 能性を念頭に研究を進めた。その要約は本書解説に紹介したとおりである。 筆者はもともと生態地理学や地域学への関心も強いため、度重なるラオス山岳地帯の訪 筆者はもともと生態地理学や地域学への関心も強いため、度重なるラオス山岳地帯の訪問で現地の自然・人々との触れ合いから得るものは多かった。森には樹木以外の植物種も豊問で現地の自然・人々との触れ合いから得るものは多かった。森には樹木以外の植物種も豊富で、住居資材や食用植物、薬用植物としての利用だけでなく、多くの鳥や小動物、昆虫な富で、住居資材や食用植物、 薬用植物としての利用だけでなく、多くの鳥や小動物、昆虫ども食用に捕獲されていた。森には、いわゆる非木材林産物(NTFP)も含め、生活の糧のすなども食用に捕獲されていた。森には、いわゆる非木材林産物(NTFP)も含め、生活の糧のべてがあり、一部には聖なる場所として宗教性が感じられるエリアもある。急峻な森を素足すべてがあり、一部には聖なる場所として宗教性が感じられるエリアもある。急峻な森を素で歩くことが普通で、まさに自然の恩恵のなかで共生する比較的生に近い姿といえる。拝金足で歩くことが普通で、まさに自然の恩恵のなかで共生する比較的生に近い姿といえる。拝主義的な活動にいそしむ人々や温暖化の危機を訴える人々とのギャップは大きい。人々の金主義的な活動にいそしむ人々や温暖化の危機を訴える人々とのギャップは大きい。人々関心事は子供、食糧、森の資源であり大気汚染や炭素循環への意識は希薄で、最近の衛星画の関心事は子供、食糧、森の資源であり大気汚染や炭素循環への意識は希薄で、 最近の衛像からも、いまだ多くの地域で焼畑移動耕作が行われていることが伺える(P**参照)。 星画像からも、いまだ多くの地域で焼畑移動耕作が行われていることが伺える(p.34参照)。 宇宙から長年月にわたって地球を観測している衛星画像のアーカイブはまさに人類共通 宇宙から長年月にわたって地球を観測している衛星画像のアーカイブはまさに人類共通の財産であり、ラオスを対象とする我々の分析でも重要な役割を果たした。特に長年月にわの財産であり、ラオスを対象とする我々の分析でも重要な役割を果たした。特に長年月にわメコン河畔から急峻な山岳地帯までメコン河畔から急峻な山岳地帯まで焼畑生態系が広がっている 焼畑生態系が広がっている。 70ラオス山岳の人々の生活とコメ・炭素・非木材林産物 ラオス山岳の人々の生活とコメ・炭素・非木材林産物

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