日本リモートセンシング学会・問題生態系計測研究会
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います。つまり上記の変化は,乾季の土地被覆が裸地化したことに対応しており,森林伐採して耕地化したことに対応する変化と想定できます。その後,高い値を維持している地点RとSの場合には耕作が継続されたと推定できます。一方,地点Pのように上昇後直ちに低下傾向,また,地点OとQのように10年程度高い値が維持された後に低下する場合があり,いずれも耕作を放棄して雑草等が繁茂してきたことが反映されていると考えられます。実際現地での観察により,こうした場所でギョウギシバ(Cynodon dactylon)と呼ばれるイネ科多年草植物が広がり耕作が困難になっている様子が観察されました。 以上のようにNDBSIの時間変化から,森林伐採による耕地化の時期が推定できるようになったので,同じ手法を用い空間的な特徴について分析しました。図4は,オナカシノ村北部の状況ですが,WorldView2衛星画像上に森林伐採された年により色分けされたものを重ねて描いています。1つの世帯の敷地はフェンスで囲まれ,その中に耕図4 WorldView2画像上に重ねたオナカシノ村北部の森林伐採年の分布 85Index)を計算しました。計算されたNDBSI値には大気の影響等が残り,時系列の変化を調べる際のノイズとなるため,ここでは各時期のデータを最大値が1,最小値が0となるような規格化処理を行いました。その結果,裸地状の地点で0.8前後,森林で0.4~0.6,湛水域や湿地でさらに低い値を示したので,その変化傾向から森林が伐採されて耕地化した時点を判定しました。 図2に,村内の一部の画像を,図3には図2に示された地点におけるNDBSIの3年間の移動平均値の変化を示します。いずれの地点における値も,1990年代前半では植生状態の影響による変動があるものの通して0.7よりも低かったものが,急激に上昇して0.8前後になっています。現地では,主にパールミレットが12月から4月頃に栽培されますが,収穫後には残渣を家畜の餌とするため,耕作地は乾季にほぼ裸地化して

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