日本リモートセンシング学会・問題生態系計測研究会
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図5 Landsat画像上に重ねた対象村北東方における森林伐採年の分布 作地があります。耕作地の色分けの状況を見ると,最初に一定規模の開墾が行われた後に,時間をおいて何度かに分けて森林伐採が進められてきたことが判ります。この辺りは元々,北方に居住していた人が放牧の経路として通過していただけの地域であり,土地所有は不明確であったため,定住化に際して余裕のある大きさで土地を囲い込みました。その後,土地生産力の低下や需要の増加によって新たに耕作地を得るため開墾する必要性が生じたことから,このような段階的な経過となったと考えられます。そして,今後も人口や耕作不適地の増加があることから,残された森林は次第に減少していくものと予想されます。 より広域的な傾向について,図5にオナカシノ村から北東方に位置する地域の状況をLandsat画像上に重ねて示します。図より,この一帯は元々大部分が森林で覆われ,1980年代までは島状に開拓地が点在していただけでしたが,1990年代後半以降,既開拓地の間隙を埋めるような形で森林伐採が進んできたことが判ります。また,その空間パターンにゾーニングのような規則性は明瞭には見られず,地域計画に基づく開発ではなかったものと推測されます。また,この図の範囲外ですが,オナカシノ村の南西方には,まだ森林が多く残る一方で降水量の少ない地域が存在しています。そこでの森林伐採の状況を見ると,島状の開拓地が2010年頃から急速に展開してきています。この地域は,一度森林伐採が行われれば,再生が容易ではなく,また,耕作地として利用しても干ばつや雑草の侵入のリスクが高く,耕作放棄につながりやすい土地です。そして,土地資源の持続的管理という観点から適切な対処法が施されることが必要で86

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