日本リモートセンシング学会・問題生態系計測研究会
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UNEP(1991)の灌漑耕地の塩類集積の被害調査結果では,表1に示す通り,乾燥地域の灌漑耕地は約1億4500万ha,塩害を受けている面積は4300万haであり,灌漑耕地の1/3程度が塩害の影響を受けています1)。さらに,塩類集積の被害は,100以上の国で確認されており,全世界的な環境問題に発展しています。灌漑農地は,人口増加に伴い,拡大されつつありますが,その多くは前述したように,塩類集積の被害を受けていることから,食料供給への影響が懸念されています。 塩類集積が確認されている地域としてタクラマカン沙漠があり,タクラマカン沙漠の塩類集積が確認されている地域の様子を図1に示します。塩類集積は,要因によって,組成が異なり,塩性土壌とソーダ質土壌に分かれます。衛星データから,塩類集積地を抽出する場合は,それぞれの土壌の特性に応じて抽出方法を選択する必要があります。図2は,灌漑農地の周辺に分布している塩類集積地を抽出した結果です2)。灌漑農地の (a)塩性土壌の塩類集積地 (b)ソーダ質土壌の塩類集積地 図1 タクラマカン沙漠における塩類集積の状況 伊東 明彦(宇宙技術開発株式会社) GoogleEarth へGoogleEarth へ 90 タクラマカン砂漠で起きていること タクラマカン沙漠の塩類集積と農業活動への影響

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