(A01) 飛行船搭載短波長赤外フーリエ変換分光器(GOSAT-BBM)による二酸化炭素スペクトル観測実験
小熊宏之・○横田達也・森野 勇・須藤洋志・吉田幸生・江口菜穂(国環研)・久世暁彦(JAXA)・井上 元(国環研)
開発中の温室効果ガス観測技術衛星(GOSAT)に搭載されるフーリエ変換分光器の地上モデル(BBM)を飛行船に搭載して,地表面(乾いた水田)による反射光の分光観測データを2005年4月7日に取得した.同時に,気象要素と二酸化炭素濃度等の直接測定(in
situ観測)データを取得した.これは日本初の試みである.その実観測スペクトルと,in situデータ及び放射伝達モデルから求めた理論スペクトルとを比較して,BBMのノイズ等の問題点について検討した.
(A02) 海洋流出油モニターのためのヘリコプター搭載蛍光イメージングライダーの開発
○篠野雅彦・樋富和夫・山之内博・山岸 進(海上技術安全研究所)
海洋流出油モニターのためのヘリコプター搭載蛍光イメージングライダーを開発した.これは,波長355nmの紫外パルスレーザーと,4波長狭帯域光学フィルター,ゲート付ICCDカメラから構成されている.2004年5月と2005年1月,3月にこのシステムの性能評価をするための飛行実験を行った.その結果,日中に軽油と灯油の油膜の2次元画像をレーザー励起蛍光パターンとして観測することに成功した.
(A03) ASTER画像の夜間位置精度
○浦井 稔(産総研)
東京湾の製鉄所を用いたSWIR画像の,埋立地を用いたTIR画像の位置精度検証結果について報告する.
(A04) フィールド学習支援システムへの高分解能衛星データ利用に関わる一提案
○伊東明彦(宇宙技術開発(株))・中國真教・新地辰朗(宮崎大)
「総合的な学習の時間」等で,衛星データが利用されつつある.このような中,広域性といった衛星データの特徴から,環境学習での事例が認められるが,学校教育において,衛星データが普及しているとは言い難い.本研究では,フィールド学習に着目した上で,なかでもフィールド学習の支援システムとして開発されてきたコラボマップに高分解能衛星データを利用した学習形態を提案すると共に,その効果を整理した.
(A05) Pi-SARポーラリメトリック較正実験
村上千景・杉山宏太郎・○藤田正晴(首都大学東京)
三面コーナリフレクタと水平偏波選択二面コーナリフレクタを用いて,航空機搭載合成開口レーダのポーラリメトリック較正実験を実施し,良好な結果を得た.較正に使用した三面コーナリフレクタ,および独立な三面コーナリフレクタの水平偏波および垂直偏波に対するレーダ断面積の比は概ね0.5dBと推定された.
(A06) 航空機搭載SAR(Pi-SAR)による湖氷の二周波・多偏波観測
○松岡建志・中村和樹・浦塚清峰(NICT)・西尾文彦(千葉大)
NICT/JAXA所有の二周波・多偏波航空機SAR(Pi-SAR)を用いて淡水湖氷の観測を行った.また地上現地観測もほぼ同期して行った.二周波・多偏波のSAR後方散乱の特徴とその現地観測結果から氷中に含まれる気泡の分布や湖氷表面の液体の水の有無の推定結果について報告する.
(A07) SARデータを用いた堤体植生の変化判別方法
○伊藤陽介(鳴門教育大)・泓田昌信(日商エレクトロニクス)
防災上,ため池の堤体は適正な植生状態を保つ必要がある.適正な植生状態,及び,調査対象とする2時期のSARデータから得られるポラリメトリック・エントロピーと平均角度を用いて堤体の植生変化を判別する方法を提案する.堤体を含む領域を多偏波モード観測で取得したPi-SARデータ(Lバンド)を適用して5種類に判別した結果から提案方法の有用性を示す.
(A08) Pi-SAR/L-bandデータによる大三島の山林火災被害エリアの観測
○須藤雅人(東海大)・梅原俊彦・浦塚清峰(NICT)・須藤 昇・下田陽久(東海大)・島田政信・小川利紘(JAXA)
2005年5月28日愛媛県大三島の鷲ケ頭山/安神山で火災が発生した.山は5日間燃え続け,約133ヘクタールの山林を焼失した.同年8月に航空機搭載合成開口レーダ(Pi-SAR)により被災エリアの観測を行い,9月に現地調査を実施した.本研究ではL-bandデータを用いて解析を行い,被災エリアの同定を試みた.解析結果とトルースデータを比較し,その結果を報告する.
(A09) 2003年春期における東アジアの対流圏エアロゾル
○佐野 到・向井苑生・仁科充(近畿大)
2003年における東アジア地域の大気エアロゾル分布をADEOS-2/POLDER-2衛星データを用いて導出を行なった.同年春期に発生した大規模な森林火災由来の粒子により光学的厚さが著しく上昇していることが分かった.
(A10) Terra衛星/MODISデータと天空観測データを用いた可視・赤外域における日本の反射率比の推定
○梅木拓也・川田剛之・竹俣一也(金工大)
現地球は,地球温暖化,海水準変動,森林減少,オゾン層破壊,異常気象などの深刻な地球規模の環境変動に直面しており,エアロゾルの光学的厚さの推定は,これら地球規模の変動メカニズムを解明することに繋がる.本研究は,衛星画像データと天空観測データを用いて日本における反射率比を算出し,それを用いたエアロゾルの光学的厚さの推定と,精度検証を実施したものである.
(A11) 大気環境モニタリング:東大阪上空エアロゾルとSPMの同時観測
○向井苑生・新保好史・佐野 到・保本正芳(近畿大)
東大阪市近畿大学キャンパスでは,これまでにNASA/AERONET放射計による長期連続放射観測だけでなく,浮遊粒子状物質の計測のためのSPM-613D(紀本電子)を用いた,TSP/PM10,
PM2.5, OBCの自動計測も実施している.本報告では,大気エアロゾルの放射観測と大気汚染物質の同期測定値の解析を紹介する.
(A12) 実測とモデルの分光反射率による枯れ葉中の水分量変化の検出
○川戸 渉(筑波大)・土田 聡(産総研)・西田顕郎(筑波大)
枯れ葉中の水分量変化を検出するために,実測値とモデルの分光反射率から算出した枯れ葉の水指標(CAI およびNDWIMmn)の検証を行った.その結果,実測およびモデルの分光反射率から算出した水指標としてCAIとNDWIM67はよい変化を示し,水指標として利用できる可能性が示唆された.
(A13) バンド和で正規化したスペクトルと NDVI (III)
○小野朗子(JAXA)・小野厚夫(大手前大)
植生指標の算出に人工衛星データが用いられるが,実際に観測されるスペクトルは, 日射量,土地傾斜角,観測角,大気効果などの影響を受けやすい.これらの影響が少ない土地被覆分類を行うために,スペクトル形状の相似性を利用し,Landsat/TM
のバンド値を正規化する手法を開発した.この正規化法と NDVI との比較を行い,正規化法の優位性を示す.
(A14) 高解像度衛星データ及びGISを使用した米収量推定モデル
○A. G. Mohamed, C. Hongo, R. Tateishi (Chiba Univ.)
Normalized Difference Vegetation Index (NDVI), Weighted Difference Vegetation
Index (WDVI) and Transformed Soil Adjusted Vegetation Index (TSAVI) were selected
to be the main estimators for Rice yield estimation modeling. The relative error
of remotely sensed based estimates against post-harvest estimates released by
agricultural administration office were 10.7%, 12.1%, 10.1% and the standard
error were 0.70, 0.74, 0.67 for NDVI, WDVI and TSAVI models respectively. Geographic
Information System (GIS) was used to apply the models over all study area to
obtain yield value for each rice field. All yield prediction models are applicable
almost two months before harvest.
(A15) 植物の蛍光応答による環境ストレス研究
○阿部 了・高橋文穂・奈倉理一(神奈川工大)
植物は地球上で唯一の酸素発生源であり,それ故に地球のすべての生き物にとって重要な存在である.しかし,近年の地球環境汚染は植物に多大な影響を及ぼしている.我々は植物の健康状態を測定するための青色LED励起蛍光法を開発しており,本稿では青色LED励起蛍光法を用いた植物の環境ストレスの影響を計測するための方法を述べ,また環境ストレスを実際に与えたときの植物の反応についても報告する.
(A16) GLIデータを用いた奈良県杉林NPPの推定におけるBRDFの影響
○陳 路・古海 忍・熊 彦・村松加奈子(奈良女大)・本多嘉明(千葉大)・藤原昇(奈良産業大)
With the launch of JAXA's ADEOS-II satellite, it is expected to estimate global
NPP from data of GLI sensor boarded on ADEOS-II. Due to variations of view angle
with GLI, there is a need to take BRDF effect in GLI data into account by using
kernel-driven BRDF model. Since model parameter varies with surface, it this
study we focus the objective on Japanese cedar. For obtaining BRDF data, BRF
observations have been held. Through BRDF model, while obtaining parameters,
retrieved reflectance with view and nadir illumination is achieved and then NPP
is also estimated. This paper describes this process, especially the sensitivity
analysis of NPP with BRDF effect.
(A17) 地上レーザスキャナを用いた森林バイオマス計測手法の開発
○米 康充・福士亮太・((株)パスコ)・門松昌彦・吉田俊也・守田英明・山ノ内誠・上浦達哉・竹田哲二(北海道大)・小熊宏之(国環研)
リモートセンシングのトゥルースとなる,森林のバイオマスを精度良く効率的に計測するため,地上レーザスキャナを用いた計測手法を考案し,さまざまなタイプの森林で実験を行った.地上レーザスキャナで得られた距離画像から立木の上部直径を計測し,箕輪法を適用することで,林分材積を求めた.RMSE=21.7m3の精度で計測するとこが可能であった.これは,通常の毎木調査手法とも精度上遜色なく,有効な手法であると考えられた.
(A18) ADEOS-II/GLIデータを用いた水田における植生純一次生産量推定アルゴリズムの検証
○大村友希・古海 忍・村松加奈子(奈良女大)
我々は温帯林を用いた地上実験を通し,植生指標MVIUPDから植生純一次生産量(NPP)を推定する手法を確立した.これまでにLandsat/ETM+データやADEOS-II/GLIデータを用いてこの推定手法の検証を行ったところ,水田においては衛星データからの推定値は実測値より低くなる傾向がみられた.本研究ではさらに数ヶ所の水田における検証からNPP推定アルゴリズムの向上を目指す.
(A19) リモートセンシングと生態プロセスモデルの協働手法 −農業生態系におけるCO2フラックス・バイオマス生長の動的評価−
○井上吉雄(農環研)・A. Olioso(フランス農業研究機構)
リモートセンシングデータにより生態プロセスモデルのパラメタリゼーションを行う手法により,モデルに対するデータ要求を補完し,モデルの不確定性を減らし,かつバイオマス・CO2フラックスを含む土壌−作物−大気系における多変量を動的に評価することが可能であることを,ダイズ群落における観測データセットに基づいて明らかにした.
(A20) POLDERデータを用いた雲粒子特性の全球分布導出
○保本正芳・佐野 到・向井苑生(近畿大)
本報告では,1996年11月から1997年6月までのADEOS-I衛星,及び2003年4月から10月までのADEOS-II衛星に搭載されたPOLDERセンサより得られた全球規模の雲粒子特性(雲頂高度,水/氷雲識別,水雲粒子有効半径と光学的厚さ等)結果を報告する.
(A21) 航空機搭載雲レーダによる雪雲の観測(II)
○堀江宏昭(NICT)・村上正隆・高山陽三(気象研)・亀井秋秀(国環研)・黒岩博司(NICT)
日本海上の雪雲観測時に海面散乱断面積の推定値と観測値の差から積分雲水量を推定し,マイクロ波ラジオメータによる推定値と比較したところ非常に良い一致を見た.今後雲粒子の直接測定データを参照して検討する.
(A22) TRMM衛星の現状とTRMM降雨レーダVersion 6アルゴリズム(その2)
○岡本謙一(大阪府立大)・J. Stout・R. Meneghini(NASA/GSFC)・阿波加純(北海道東海大)・井口俊夫(NICT)・松川佳代(大阪府立大)
熱帯降雨観測衛星(TRMM)は,当初予定されていた制御再突入が中止になり,2009年9月まで運用を継続することが2005年9月30日に,NASA,JAXAによって承認された.これに関してTRMM衛星を取り巻く現状と今後の問題点を紹介する.また,
TRMM 降雨レーダVersion 6アルゴリズムの処理結果の現状ならびにVersion 7に向けての改良すべき点について紹介する.