B会場

(B01) エージェントによる確かさを用いた再分類手法
○酒井徹朗・高橋由香(京都大)

高解像度衛星写真を用いたクラスタ分析では,僅かな輝度の違いによる分類クラスが異なる.これに対処する方法としてオブジェクト手法解析がある.クラスタ分析では分類距離あるいはメンバーシップ関数が最大となるクラスに分類される.これは相対的な判別であり,分類の連続性から見ると必ずしも正しいとは限らない.メンバーシップ関数などを指標に,分類の連続性を考慮した,エージェントを用いた再分類手法について報告する.

(B02) 1981-2000年AVHRR/NDVIデータを用いたグローバルな土地被覆変化マップの作成

○小林利行・建石隆太郎(千葉大)

現在,数年毎の土地被覆変化地域を示すグローバルマップは少ない.本研究ではNOAA-AVHRRのNDVIデータを使用して年間プロファイルの変化を調べる事により,1982年から2000年までのグローバルな土地被覆変化地域の推移を示すマップを作成した.その結果,土地被覆変化と時系列NDVIとの間に特徴的な関係がある場合については,1年毎の変化を示す図を作成する事が出来た.

(B03) 18年間のLANDSATデータで時系列的に追跡した仙台市域における土地被覆変化
○平野知晃・竹田 厚・谷口正成(東北文化学園大)

本研究では,リモートセンシング技術の発達,および普及によって,広範囲を長期に渡っての観測・測定が容易になった.これにより,兼ねてより問題視されている環境問題に対する対策の礎の一つとして,土地被覆の変遷を視覚的・数量的に把握することを目的とした.今回,18年間のLANDSATデータで時系列的に追跡した仙台市域における環境変化と地域の分布状況の調査を行い,都市域・植物域状況の実態把握を行った.

(B04) 中間赤外と熱赤外を併用した山岳地域での積雪域の抽出法の検証
○一戸慎也・丹波澄雄・飯倉善和(弘前大)

Thematic Mapper(TM)はランドサットに搭載された光学センサーで,熱赤外域を含む7つのbandを持つ.従来TMによる積雪域の抽出には可視域,赤外域のバンドを併用してきたが,これだと積雪と雲の識別が困難である.そこでband5による水分含有量band6による温度差のbandの散布図に現れる積雪,雲,植生の特徴を利用した閾値による抽出法を前回提案した.この手法が起伏のしい山岳地域などの他時期のTM画像に適応できるかを検証する.

(B05) GMS熱赤外データ時系列処理による陸域雲領域除去アルゴリズム

○中山義史・森山雅雄(長崎大)

GMSデータによる陸域観測のために,GMS輝度温度データを一月分処理し画素毎に雲と晴天を分離する統計的手法を開発した.

(B06) 簡易型地表面温度推定アルゴリズムの検討
○森山雅雄(長崎大)

GLI, MODIS, SGLIのような広域観測センサのための,計算機資源を節約した地表面温度推定アルゴリズムの開発のため従来型Split window法の精度検証,および,単一熱赤外チャンネルによる推定法の可能性検証を行なった.

(B07) リモートセンシングにおける大気パラメーターの新しい導出法の可能性について

○J. Nieke, F. Seidel(Univ. Zurich), J. W. Kaiser(ECMWF), D. Schlapfer, and K. I. Itten(Univ. Zurich)

Recently advanced method for aerosol detection and trace gas retrieval were developed allowing the mapping of air pollution in unprecedented accuracy. These methods were developed in the scope of the Airborne Prism Experiment (APEX), an imaging spectrometer to be in operations from 2007. In the following we give an overview on methodology and results from feasibility studies carried out at RSL. These products will enabled to perform regional climate research, atmospheric pollution monitoring and validation of spaceborne sensor products. Further on, at-sensor radiance will be corrected for atmospheric particles to generate surface radiance/reflectance in unprecedented accuracy.

(B08) "地表面BRDFモデルパラメータ抽出のためのホットスポット等高度観測手法
-砂漠域乾燥湖におけるスカイラジオメータによる観測例-"

○土田 聡(産総研)・川戸 渉(筑波大)

本研究では,ホットスポットと等高度方向の地表面からの放射輝度を観測を行うことによって,BRDFモデルの各パラメータもしくはある光条件下の情報だけを取り出し,異なる太陽-地表-観測幾何関係におけるパラメータ積分を可能とし,より信頼得るパラメータ抽出を可能にする解析手法を考案した.ここでは,そのテストケースとして,スカイラジオメータを利用し,砂漠域乾燥湖における地表面の観測を行いその適応を試みた.

(B09) USGSグローバルMODISデータの前処理

○H. Al-Bilbisi, R. Tateishi, Rokhmatulah, and K. Arihara (Chiba Univ.)

The objective of the Moderate Resolution Imaging Spectroradiometer MODIS is to provide a comprehensive series of global observations of the Earth’s land, oceans, and atmosphere in different regions of the spectrum. Global area coverage of MODIS/TERRA Nadir BRDF- Adjusted Reflectance 16-DAY L3 Global 1 KM SIN Grid product (MOD43B4 NBAR) was ordered from USGS. For each 16-day period a total of 289 to 296 tiles (10x10 lat/long) of global area coverage were used. For each five continents (North America, South America, Africa, Eurasia and Oceania), all tiles of MOD43B4 NBAR products were mosiced first, and then reprojected. Cloud, snow and water flags were also corrected.

(B10) 多方向撮像による三次元情報抽出精度向上とS/N依存性の検討

○山口裕史・奈倉理一(神奈川工大)

現在,地球環境問題への取り組みとして様々な研究がされている.人工衛星による観測では,観測対象を広く,長期的にかつグローバルに観測できる高分解能カメラにより,三次元情報を抽出することが出来る.本稿では,多方向撮像による複数枚のステレオ画像から三次元情報解析を行う手法として,不可視領域を少なく,対応点検出精度の向上を図るとともに,雑音環境下での三次元情報抽出の精度向上とS/N依存性について検討をする.

(B11) 起伏のある地形での衛星画像に対するヘイズの影響の補正
◯飯倉善和(弘前大)

近赤外バンドから推定される土地被覆分類クラスにおいても,可視バンドの画素値にはバラツキが見られる.このバラツキには高による成分(パスラディアンス)と水平に分布するヘイズによる成分が含まれる.本論文では,パスラディアンスを標高の一次関で近似することにより,水平成分をその傾きの大きさで評価する方法を提案する.本方法をランドサットTM画像に適用したところヘイズが除去された鮮明な画像を得ることができた.

(B12) Aqua/Terra MODISデータを利用したアジア森林火災の準実時間観測
○竹内 渉・安岡善文(東大)

This research focuses on the near-real time network based active fire monitoring over Asia using MODIS onboard Aqua and Terra satellite. Firstly, the algorithm used for fire mapping is described that is basically improved on the heritage of AVHRR using 4- and 11-μ m thermal channels. Secondly, our fire product is described that is mainly composed of fire mask along with latitude and longitude tables supplemented by confidence value in percent. Thirdly, our current status of fire product production is presented and the way to obtain them through FTP or HTTP is described. Finally, some caveats to bear in mind when using our fire product and our future works are described for the refinement of our algorithm.

(B13) 短波長赤外,熱赤外を用いた森林火災モニタリングアルゴリズム
○三浦高史・森山雅雄(長崎大)

通常の地表面観測に用いられるSWIR, TIR帯を用いて,森林火災がどの程度検出できるか,また,検出できた場合,火災部温度,面積が推定可能かどうかを数値シミュレーションにより確認した.

(B14) ASTER画像を用いた福井豪雨被害の検証
青山隆司・○船木俊宏・大家 寛(福井工大)

Terra/ASTERのVNIR画像と正規化植生指標NDVI画像を用いて,2004年7月18日に発生した福井豪雨前後の画像を比較し被害状況の検証を行った.解析の結果,豪雨により植物環境が大規模に変化することが示された.具体的には,豪雨後の河川敷や田畑等で明確なNDVI値の減少が見られた.つまり,高解像度(15m)のASTER画像データを用いることにより,自然災害,特に植物被害の検証が可能である.

(B15) 液状化誘因広域逆推定問題における航空機Pi-SARデータの適用可能性
小島尚人(東理大)・浦塚清峰(NICT)・大林成行(国情研)・○國友有希乃・福留朋之(東理大)

This paper discusses applicability of the Polarimetric and interferometric airborne Synthetic Aperture Radar (Pi-SAR) data for an inverse analysis of liquefaction triggering factors. In the inverse analysis model based on the SEM (Structural Equation Modeling) approach, a Trigger Factor Influence map (termed “TFI map”) can be produced through the measurement-equation defined by the causal factors (i.e., the geographical information (GI) , the Pi-SAR data) and the liquefaction triggering factor. Through hypothesis testing for evaluating model fit, the path models applying the Pi-SAR data indicates the better goodness fit of the model. Furthermore, as a practical utilization of the Pi-SAR data,"Risky and Safe side assessment" sub-areas are delineated on a difference map (termed“DIF map”as a final product) between the TFI maps in each case. These DIF maps are arranged on the “pairwise comparative table.” The DIF maps, their interpretations and pairwise comparative table might be useful for estimating unobserved trigger factors in the liquefaction hazard.

(B16) 西部赤道太平洋域における現場分光放射計によるクロロフィル-a色素濃度推定及び検証
○田中健介・香西克俊(神戸大学)

西部赤道太平洋域における海洋地球研究船「みらい」研究航海によって得られた現場上向き分光放射輝度値,現場クロロフィル-a計測値より既存のクロロフィル-a色素濃度推定アルゴリズムを検証するだけでなく,西部赤道太平洋域における新たなクロロフィル-a色素濃度推定アルゴリズムを開発した.

(B17) MODISデータを用いた若狭湾の赤潮検出

○青山隆司・大家 寛(福井工大)

福井工大に本年9月に導入されたMODIS高次処理システムについて紹介する.また,MODIS画像から赤潮を判定するため,現状ではtrue color 画像(500m)を用いているが,Band1(250m)のみでも可能であること,さらにNDVI画像を組み合わせることで,SSとの分離が可能であること示す.また,NDVI画像により赤潮プランクトンの活性度の把握も可能である.

(B18) 室内測定を基にしたCaseU水域に対するSDAの実用性の検討
○尾山洋一・松下文経・福島武彦・永井孝志(筑波大)・今井章雄(国環研)

我々は,CaseU水域におけるchlorophyll-a濃度と植物プランクトン以外の懸濁物(NPSS)濃度を衛星データから推定する新しい手法(SpectralDecomposition Algorithm: SDA)を開発した.この手法が様々な植物プランクトンや,湖水に対して適用可能であるかを室内測定を基に検証した.結果,植物プランクトン種が変化しても,同程度の精度で推定が可能であることが示された.また,湖水サンプルでは珪藻が優占していた時期に限り,約±10%の精度で推定が可能であることが明らかとなった.

(B19) 衛星による過去27年間の極域の海氷変動および海氷厚測定手法

○西尾文彦・直木和弘(千葉大)・J. C. Comiso(NASA)

四半世紀以上,継続して得られた衛星データは,北極・南極域の海洋を覆う海氷面積が,急速に減少,後退していることを捕らえた.このことは,今では多くの人々が知るところとなっている.この観測はマイクロ波衛星データ(SMM/I & AMSR)なくしては,人類が得られなかった現象といって良いだろう.継続した衛星データから得られる地球環境変動研究の成果の一つである.衛星による時系列データの継続性の重要性を認識し理解できる最良の観測例でもある.南北極域海洋での海氷変動を,衛星観測の技術的向上を含めて過去27年間の変動の傾向を示す.また,海氷の厚さ計測手法の開発をも示す. 

(B20) モンゴル乾燥地域・半乾燥地域におけるバイオマス変化のモニタリング
○Ts. Javzandulam and R. Tateishi (Chiba Univ.)

An attempt has been made in this study to monitor biomass changes in arid and semi-arid area of Mongolia and to estimate influence of temperature and precipitation on the degradation. In the study different vegetation indices (VIs), particularly the Normalized Difference Vegetation Index (NDVI), Modified Soil Adjusted Vegetation Index2 (MSAVI2) and Enhanced Vegetation Index (EVI) are tested to estimate biomass accurately. Multi-temporal SPOT-4 VEGETATION data from 1998 to 2001 have been used for the analysis. The relationships between biomass and each vegetation indices were investigated. The results showed that in Mongolian desert steppe and Gobi desert zone MSAVI2 is found to estimate biomass well. Generally, it was found that total biomass was decreased by 50.7%, and 31.4% of rangeland is very severe degraded and influence of climate factor on biomass changes is increasing in the study area.

(B21) 衛星データと気候データを用いた黄河流域の砂漠化に関する研究
○王 秀峰(北大)・松岡延浩(千葉大)・前野伸策(北大)

近年,中国北部における黄河流域の砂漠化は年々激しくなり,全地球的な温暖化に関係していると言われている.本研究の目的は,衛星データと気候データを用いて,黄河流域の気候変化と砂漠化の進行状況との関係を解明し,黄河流域における環境改善のための情報を提供することである.1981年〜2000年のNDVIデータと気温及び降水量のメッシュ化したデータを使用し,黄河流域において砂漠化が進行している地域を特定した.更に,砂漠の進行と気候変化との関係を解析した.

(B22) 可視域および熱赤外域データを使用したダストインデックス
○伊東明彦・宮本 潤(宇宙技術開発(株))・土屋 清((財)広島地球環境情報センター)

衛星データを用いて風送ダストの分布状況把握を目指した研究が進められており,可視域の短波長のデータや,熱赤外域のデータを使用した指標が開発されつつある.本研究は,可視域の短波長のデータを利用したLDVIと,熱赤外の波長域のデータ利用したVAIの2つの指標を融合利用する風送ダストインデックスを開発した.その結果,各手法の課題を補うことが可能となり,風送ダスト域の絞り込みに効果があることが判った.