P会場(1)

(P01) 衛星による高精度高分解能全球降水マップの作成についての研究:(その1)全体概要
○岡本謙一(大阪府立大)・井口俊夫・高橋暢宏(NICT)・岩波 越(防災科学技術研究所)・牛尾知雄(大阪府立大)・青梨和正(気象研)・沖 理子(JAXA)・重 尚一(大阪府立大)

科学技術振興機構戦略的創造研究推進事業「衛星による高精度高分解能全球降水マップの作成」プロジェクトは,発足以来3年が経過したので,これまでの研究成果について中間報告を行う.本発表では,全体概要を紹介し,以下の発表で,「地上レーダによる観測」,「降水物理モデルの開発」,「降水強度推定アルゴリズムの開発」, 「全球降水マップの作成」および「全球降水マップの評価」について各研究グループから研究報告を行う.

(P02) 衛星による高精度高分解能全球降水マップの作成についての研究:(その2)地上レーダによる観測
岩波 越(防災科学技術研究所)・○岡本謙一(大阪府立大)・中川勝広(NICT)・花土 弘(JAXA)・北村康司・出世ゆかり(NICT)

GSMaP地上レーダ観測班は,降水物理モデルの開発と衛星搭載マイクロ波放射計データから作成されるローカルな降水マップの検証のため,「2004年沖縄梅雨集中観測(Okn-Baiu-04)」を実施した.Cバンド偏波ドップラーレーダ,400MHzウィンドプロファイラ,Kaバンドドップラーレーダ等で取得したデータにより,雨滴粒径分布等の降水物理量の導出と降水タイプ別の鉛直構造に着目した降水データベースの構築を進めている.

(P03) 衛星による高精度高分解能全球降水マップの作成についての研究 (その3)降水物理モデルの開発
○高橋暢宏・佐藤晋介(NICT)・阿波加純(北海道東海大)・古津年章(島根大)・高薮縁(東京大)・広瀬正史(JAXA)

マイクロ波放射計による降水リトリーバルアルゴリズムで用いている降水物理モデルを改良するために,熱帯降雨観測衛星搭載の降雨レーダのデータを基に降水タイプ分けした降水プロファイルを導入した.また,より現実に近い降水物理モデルを構築するために,融解層モデルを導入するとともに,雨滴粒径分布モデルの導入も検討している.

(P04) 衛星による高精度高分解能全球降水マップの作成についての研究 (その4)降水強度推定アルゴリズムの開発
井口俊夫(NICT)・青梨和正(気象研)・瀬戸心太(NICT)・永戸久喜・井上豊志郎(気象研)・清水収司(JAXA)・藤田正晴(首都大学東京)・○高橋暢宏(NICT)

GSMaPの中心となるアルゴリズム開発研究を紹介する.アルゴリズム本体はAonashi and Liuのアルゴリズムを基本としてそれを改良する形で実施した.海上のアルゴリズムに関しては,熱帯降雨観測衛星の標準アルゴリズムよりも降雨レーダの見積もりに近い結果を得た.陸上のアルゴリズムに関してはデータベースを用いる降雨判定手法を導入することにより改善を図った.またアルゴリズムを評価する手法の開発を行った.

(P05) 衛星による高精度高分解能全球降水マップの作成についての研究:(その5) - 全球降水マップの作成 -

○牛尾知雄(大阪府立大)・久保田拓志・橋爪寛(JST)・野田俊輔・飯田泰久・重 尚一・岡本謙一(大阪府立大)・青梨和正・井上豊志郎(気象研)・井口俊夫・高橋暢宏(NICT)・可知美佐子・沖 理子(JAXA)

科学技術振興機構戦略的創造研究推進事業「衛星による高精度高分解能全球降水マップの作成」プロジェクトの「全球降水マップの作成」について研究報告を行う.衛星搭載マイクロ波放射計を用いた降水マップの作成状況,静止気象衛星搭載赤外放射計データを併用した降水マップの作成,さらにレーダアメダスデータを用いた世界の他プロダクトとの比較等について紹介する.

(P06) 衛星による高精度高分解能全球降水マップの作成についての研究:(その6)全球降水マップの評価

○重 尚一・久保田拓志・橋爪 寛・牛尾知雄(大阪府立大)・青梨和正(気象研)・可知美佐子(JAXA)・岡本謙一(大阪府立大)

本研究は,「衛星による高精度高分解能全球降水マップの作成」(GSMaP)プロジェクトによる衛星搭載マイクロ波放射計からの降雨推定値の評価について報告する.GSMaPによるTMIからの降雨推定値とGoddard profiling algorithm (GPROF)からの降雨推定値を,PRを基準として比較している.AMSR-Eに関しては,JAXA標準プロダクトのリトリーバル結果と比較している.

(P07) マイクロフォン型雨滴粒径分布測定装置を用いた降雨の観測
○森増陽介・岡本謙一(大阪府立大)

レーダ反射因子Z,降雨強度R,減衰係数kなどの様々な降雨パラメータは,雨滴粒径分布関数を核とする積分表現となっているので,雨滴粒径分布の測定は降雨パラメータを算出するための最も重要な課題となっている.また,レーダを用いて降雨強度を算出するアルゴリズムでは,雨滴粒径分布を用いて計算したZ- R関係,k-Z関係,k-R関係を仮定している.本研究では,大阪府立大学構内の地上に置かれたマイクロフォン型雨滴粒径分布測定装置(ディスドロメータ)を用いて測定した雨滴粒径分布からMie散乱を仮定して降雨パラメータ間の関係を求めた.

(P08) 全球降水観測計画(GPM)衛星群から観測された時間空間平均降雨強度のサンプリングエラー

◯飯田泰久・岡本謙一・牛尾知雄(大阪府立大)

本研究では,全球降水観測計画(GPM)において運用が想定される低周回軌道衛星8機から観測された時間空間的に少ない降雨情報に起因する,サンプリングエラーを,日本域のレーダ・アメダス解析雨量を用いて定量的に評価する.このサンプリングエラーは,衛星による降水観測計画における実現可能性の検討や,現在利用可能な複数衛星データをもとに作成された全球降水マップの信頼性評価において本質的に重要な問題である.

(P09) タクラマカン砂漠北部アクスオアシス周辺の植生被覆変化の抽出

○斉藤尚広・石山 隆(千葉大)

本研究ではアクスオアシスの周辺地域の植生被覆が40年前と現在とでどう変化したかを,米国の偵察衛星CORONAのデータとLANDSAT/ETM+データを比較して植生被覆変化の抽出を行うことを目的として解析を行った.その結果植生被覆の変化した地域とその面積の抽出に成功したので報告する.

(P10) NOAA/AVHRRを用いた長期植生生物季節観測
◯大吉 慶・竹内 渉・安岡善文(東京大)

1984から2000年にかけて東京大学生産技術研究所において受信されたNOAA/AVHRRデータから,春の展葉時期を抽出して時系列解析を行い,展葉時期の変動と,気温上昇に対する展葉時期の感度の空間分布図を作成した.その結果,北東アジアの混合林地帯において,展葉時期が早期化する傾向が見られ,気温上昇に対する感度も混合林地帯において高いことが確かめられた.

(P11) 九十九里海岸林の生育に対する地下水変動の影響評価
○森 幹高・工藤勝輝・西川 肇(日大)

わが国の海岸地域には,多くの海岸林が植栽されている.しかしながら,近年,管理不足,虫害および自然環境の変化などにより生育状態が悪化し,防災機能の低下が問題視されている.本研究では,地下水位上昇による集団枯損が発生している九十九里海岸林を対象に,生育基盤土壌の過湿傷害による生育状態への影響について,衛星データならびに現地調査によって得られた植生指標(NDVI)および比葉面積(SLA)により検証した.

(P12) ASTERによる植生変化量の算出および植生量の予測に関する検討

○河合雅己・瀬戸島政博・船橋 学・今井靖晃(国際航業(株))・立川哲史(ERSDAC)

本研究は,長崎県島原市の雲仙普賢岳を対象に,植生変化量の算出および植生量の予測に関する検討を行った.植生量は現地調査から得られた原単位を用いて算出した.植生量予測式は,被覆率の変化を多項式近似して作成した.植生変化量は航空写真と検証し,約10%の過少算出であった.植生量の予測誤差は,2004年10月のASTERと検証した.絶対値では約5%だが,1995年からの変化量では約40%で改善が必要である.

(P13) Detection of burnt areas and vegetation recovery by 500 m MODIS and 1 km SPOT-VEGETATION data in Central Kalimantan, Indonesia
○ヘンドリック セガ・谷 宏(北海道大)

インドネシアの中央カリマンタンで1997年と2002年に発生した大火災によって生じた火災域における植生指数(MODISおよびSPOT-VEGETATION)の変化に着目して,焼失域の被害状況とその後の植生回復状況を解析した結果,被害の程度によって変化パターンの違いが明らかになった.

(P14) 春・夏期の航空機MSSデータを用いた砺波平野における水田の抽出
村上暁信・梅干野晁・○金 起漢(東工大)

農村地域においての水田抽出は春期を対象に行われ,水張りされた水面を水田と見てきた.しかし,春期の水面だった領域がすべて水田となるわけではなく,畑作の準備段階として雑草が生えるのを防ぐために春期には水を張り,後に畑となる水張り転作のケースもある.このような水張り転作も踏まえて水田を抽出するには春期の水面抽出では不十分であり,春期と夏期のリモートセンシングデータが必要である.

(P15) 地上観測した各種植生指数の季節変化特性のウェーブレット解析による抽出と作物判別への応用

○芝山道郎・坂本利弘・石塚直樹・大野宏之(農環研)

作付け時期の異なるイネ,コムギ,ダイズおよびモロコシの分光反射率を生育時期を追って地上測定した.NDVI,EVI,SAVIおよび可視と短波長赤外バンド反射率を用いた数種類の植生指数の季節変化の特徴をウェーブレット解析により抽出した.EVIまたはSAVIと,560nmと2200nmバンド反射率を用いた指数を組み合わせることにより, 作物の種類を季節変化パターンで判別することが可能と考えられた.

(P16) 熱帯雨林の気候変化に対する環境応答
○永井 信・森本 宏(名古屋大)

陸域の炭素収支を推定する上で,熱帯雨林の植生活動にとって重要な気象要因が何であるかを示すことは重要である.本研究は,NDVI,降水量,気温,太陽入射量からなる多変量自己回帰モデルを用いて,熱帯雨林のエコシステムを評価した.この結果,太陽入射量に比べて,降水量と気温が重要な気象要因であることが示された.

(P17) Monitoring fire-affected areas using LANDSAT TM/ETM+ data over peat swamp forest in Central Kalimantan, Indonesia

○谷 宏・ヘンドリック セガ(北海道大)

インドネシアの中央カリマンタンで1997年と2002年に発生した大火災によって生じた火災域の検出をLANDSATデータを用いて解析した.多時期データを用いた主成分分析によれば,火災による焼失域を中心とした植生のモニタリングにはバンド1457が重要であることが判明した.

(P18) リモートセンシングデータを用いた地震被害推定システム
○細川直史・鄭炳表・座間信作(消防研)

震災などの大規模災害が発生した場合には,災害を軽減するために,被害状況の迅速な把握と消火や救助などの救援活動の早期実施が重要である.リモートセンシングは,地上の状況を広域に把握することが可能な技術であり,災害時の応急対応を行う上で必要な被災情報を取得することが可能である.本稿では,リモートセンシング特に合成開口レーダー(SAR)により取得された標高データ(DEM)に基づく地震動予測と干渉SARに基づく建物の被災度推定を組み合わせた地震被害推定システムについて述べる.

(P19) "ASTER/TIRによるホットスポット解析における迷光の影響
−セントヘレンズ火山及び岩手山におけるケーススタディ −"

外岡秀行・○吉田直人(茨城大)

ASTER熱赤外(TIR)画像には迷光効果が含まれており,周囲との温度差が大きい小領域や境界付近において観測輝度が実際と異なる値を示す.その特性はTerra月校正マヌーバにより明らかとなり,補正法も提案されている.本講演では,ASTER/TIR画像による火山のホットスポット解析に迷光が与える影響について,セントヘレンズ火山及び岩手山を例とした予備的評価結果について報告する.

(P20) MODISデータによる2000年代を中心としたジュンガル盆地の地表被覆変動の解析
○古野義明・中山裕則・山口志野(日大)・穆 桂金(中国科学院新疆生態地理研)

中国新疆ウイグル自治区のジュンガル盆地の湖沼とその周辺域は,過去数千年の長期的な乾燥化とは異なり,ここ5〜6年で急速な変化を示した.1990年代までの約50年間の急速な湖水域の縮小は人為的な要因が強いとされてきたが,2000年頃から拡大傾向に転じた.本研究では,Terra/MODISデータを使用して2000年代を中心としたジュンガル盆地内の湖水域,山岳雪氷および灌漑農地分布のについて解析したことを報告する.

(P21) "干渉SARによる桜島火山周辺の地殻変動の検出
-降雨によるINSAR解析結果の誤差に関する検討-"

○松茂良梢・須藤 昇・下田陽久(東海大)・島田政信・古田竜一・小川利紘(JAXA)・梅原俊彦・灘井章次(NICT)

桜島はこれまでの大噴火の際に,噴火の直前に隆起,直後に沈降を繰り返すという特徴的な地殻変動が観測されている.この地殻変動に着目し,干渉SAR技術での検出を試みてきたが,解析結果にノイズが残るなどの問題を抱えてきた.本研究では解析結果に含まれる誤差に着目し,大きな影響を及ぼすと考えられる水蒸気量を除去するために,降水量による誤差について調べ,水蒸気補正と降水量による画像補正を行うことを目指した.

(P22) InSARにおけるMODIS水蒸気データ利用の試み

○冨山信弘(RESTEC)

合成開口レーダの干渉処理(InSAR)において,水蒸気によるマイクロ波の遅延が大きな誤差成分となりうる.TerraおよびAquaに搭載されたMODISのプロダクトの一つとして,水蒸気量のデータが提供されている.ここではInSARにおける水蒸気遅延の推定にこのMODISデータの利用が可能かを検討した.

(P23) ERS-1/2 InSARを用いた東南極域における氷床域の観測
○山之口勤(RESTEC研究部/総研大)・土井浩一郎・澁谷和雄(極地研)

ERS-1/2タンデムデータを用いたInSAR処理により,東南極域においてgrounding lineと呼ばれる大陸氷床と棚氷の境目の抽出を行った.その結果,従来のgrounding lineデータと比較してはるかに精確な形状及び位置を抽出することができた.また氷床氷厚変動について,InSARとICESatと呼ばれるLaser Altimeter衛星を用いて解析した結果も報告する予定である.

(P24) クロストラック干渉SARを用いた波浪計測

○小松祐子(東海大)・灘井章嗣(NICT)・須藤 昇・下田陽久(東海大)・梅原俊彦・浦塚清峰(NICT)

NICTとJAXAによって開発された航空機搭載合成開口レーダ(Pi-SAR)のX-bandはクロストラックインターフェロメトリを有し,2mの精度で地面の高さを測定することができる.本研究では,X-bandクロストラックインターフェロメトリ機能を用いて海表面の高さ情報のスペクトル解析を行い,波浪計で計測された結果と比較検討した.

(P25) DMSP/OLS夜間画像における飽和光の補正手法の検討
○胡斯勒図・西尾文彦(千葉大)・原 政直((株)ビジョンテック)

地球温暖化は長期的かつ地球規模の問題である.近年の気温上昇は,CO2などの温室効果ガスの増加が最大の原因である.本研究の目的は米国の気象衛星DMSPが搭載しているOLSセンサの画像からCO2排出量を推定する.本発表では精度のよい飽和光の補正モデルを作成するために,1999年1月7日のDMSP/OLS夜間画像における仙台市の夜間画像の光を抽出して解析を行い,近似曲線による飽和光の補正モデルを作成し,deltaic modelとの比較検証を行って,その有効性について述べる.

(P26) 地球観測センサーのシミュレーション・校正・検証用センサー機材
○J. Nieke(Univ. Zurich), Y. Honda(Chiba Univ.), H. Murakami(JAXA), N. Takeuchi(Chiba Univ.), and K. I. Itten(Univ. Zurich)

In the next decades, JAXA plan to launch a series of GCOM satellites. Onboard the GCOM-C satellite the SGLI sensor will enable global observation of the environment and human activities. The successful calibration and validation of space sensors (such as SGLI) is crucially important and is depending on many factors, such as rigid ground-truth campaigns, the validation of the product algorithms. Also the transfer of ADEOS-2 GLI algorithms to the SGLI project needs a special validation effort. The airborne imaging spectrometer APEX is able to support these activities since it was especially designed for the calibration, validation (CalVal) and simulation of space sensors. In this paper the binning pattern are discussed to cover the spectral bands of the former GLI sensor in a way, it promises best results.

(P27) GMS-5/VISSR可視データによる日本付近のアルベド分布画像の精度検討
堀内浩司・○境 裕之・美濃村満生・久世宏明・竹内延夫(千葉大)

衛星データには,地表面情報と大気情報が含まれる.本研究ではGMS-5/VISSRの画像データを用い,大気が比較的清浄な日の衛星データから地表面アルベドを求め,それを用いて混濁した日のデータからエアロゾル光学的厚さを抽出する.放射輝度成分の計算には放射伝達コードMODTRAN4を用いる.今回は日本全域において導出したアルベドマップの精度評価を行う.

(P28) あいまい度の尺度によるPi-SARデータの偏波間散乱特性の評価
○山田貴浩(福島高専)・星 仰(画像文字情報研究会)

本研究では,マイクロ波の送受信偏波が異なる2つの振幅画像データ間の散乱特性について,それらから求められるグレーレベル同時生起行列によって求められる「あいまい度の尺度」を用いた評価を行う.その手法について,2005年に茨城県日立市上空で観測が行われたPi-SARのLバンドのデータを用いて検証した.対象シーン内の海面,住宅地,植生域などについての結果を示し,検討を行う.

(P29) SeaWiFSにみられる日本近海エアロゾル特性の年次変化
○竹野圭輔・福島 甫(東海大)

地球観測衛星センサSeaWiFSにより観測された1998年-2004年のデータを用いて,日本近海域のエアロソル光学的厚さとオングストローム指数の月別平均データを作成し,大気環境の変化を解析した.日本近海をオホーツク海,黄海,日本付近,東シナ海,日本南方の5つのエリアに分け,それぞれの時系列データを作成し,長期的な変化を調べた.エアロソル光学的厚さに関しては,有意な変化は見られなかったが,オングストローム指数は,全てのエリアで微増傾向にあり,特に東シナ海,日本付近のエリアで,顕著に増加傾向が現れていた.(オングストローム指数の増加分で0.1程度)本研究により微小粒径粒子が年々増加している傾向にあると推察できる.

(P30) 多波長偏光放射計とSPM計による東大阪市の大気粒子特性の考察
○新保好史・向井苑生(近畿大)

東大阪は中小企業の町で,大阪湾から吹き込む海塩粒子に工場からの排気ガスが混合し,生駒山に跳ね返って滞留する.さらに春先には黄砂や花粉が飛来して,1年を通して季節変化に伴い多種多様な大気粒子が浮遊している.本報告では,SPM-613D(紀本電子)から得られる浮遊粒子状物質のデータと,ポータブル型多波長偏光放射計(PSR-1000)から得た直達光,大気偏光観測データを併せて,東大阪上空エアロゾル特性の解析結果を報告する.

(P31) POLDER & GLI データの複合利用システムの作成
○仁科 充・佐野 到・向井苑生(近畿大)

ADEOS衛星に搭載されたPOLDERセンサーは偏光観測,多方向観測という特徴を持ち,GLIセンサーは高分解能,多波長観測という特徴を持っている.本研究ではPOLDER,GLIデータの互いの長所を活かして複合利用することにより,より高精度な衛星データ解析を目指す1).そのための手法として複合利用システムを提案し構築する.ここでは応用例として,雲識別の精密化を取り上げる.