第58回(平成27年度春季)学術講演会
特別セッション(2)
「リモートセンシング法の現状」の実施結果報告
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2015年6月9日
副会長・実利用委員会委員長 福田徹

1.開催日時:2015年6月3日(水)10時30分〜12時
2.開催場所:千葉大学けやき会館 1階大ホール
3.実施概要

 本年1月に決定された新宇宙基本計画において、民間事業者による宇宙活動を支えるための「宇宙活動法案」及び「リモートセンシング衛星を活用した民間事業者の事業を推進するために必要となる制度的担保を図るための新たな法案」を平成28年の通常国会に提出することを目指すことが示され、現在、宇宙政策委員会において検討が進められている。これら2法案はリモートセンシングの研究、開発、事業を行う当学会会員の活動にも大きな影響を与えると考えられるが、宇宙活動あるいはリモートセンシングと法制の関わりについて学会会員の間でも十分な理解があるとは言えないため、今後の学会での意見集約に向けてその基盤となる共通認識を形成することを目的として本特別セッションを開催した。
 当日のセッションでは、当職の司会により4件の講演が行われた。
 最初に、内閣府宇宙戦略室末富理栄参事官より、リモートセンシング法を含む宇宙法制の制定を目指す背景と経緯、検討の現況が示され、本年の6月末〜7月頃に中間取りまとめを作成する方向であることが説明された。
 続いて、JAXA法務スペシャリスト佐藤雅彦氏より、宇宙法とは、宇宙条約との関係、リモートセンシング衛星データに関する宇宙法、日本の宇宙開発の歩みと宇宙法実務に関して包括的な講演が行われた。また、スペースデブリ規制法、宇宙活動に関する行動規範案の国際動向についても紹介された。
 安岡善文東京大学名誉教授より、Future Earth等の動きを例として科学技術が社会的課題の解決に責任を持つべき時代となっていることが紹介され、リモートセンシングを含む科学技術を社会実装するためにも法律の重要性が高まっていることが指摘された。
最後にRESTEC福田徹より、地球観測衛星における空間/時間分解能の向上、欧州、中国における公共サービスとしてのリモートセンシング衛星整備、ベンチャー企業など新たなプレイヤーの登場などの状況が説明された。
 全講演終了後、会場からの質問を受け付け、質疑の中でデータポリシーはリモセン法のなかで原則を定めたいこと、データのOpen and free化の動きにも配慮したいことが回答された。
 なお、悪天候にもかかわらず約100名の参加者があり、また一般公開形式としたことにより学会外からも3名の参加があった。本セッションの開催により、リモートセンシング法に関する高い関心が確認されるとともに、今後の学会における議論の第一歩を踏み出すことができたものと考える。

4.発表資料及び講演者[敬称略]
宇宙法制関連の現況説明及び今後の進め方 末富理栄(内閣府宇宙戦略室参事官)
宇宙法 佐藤雅彦(JAXA法務スペシャリスト)
地球観測の役割とリモートセンシング法 安岡善文(東京大学名誉教授)
地球観測技術の最新動向 福田徹(RESTEC)